道尾秀介著『いけない』(2019年7月10日文藝春秋発行)を読んだ。
文藝春秋の宣伝文句。(オーバー)
騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。
『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー!
途中略
どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。
「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。
架空の街、蝦蟇倉(がまくら)市で起こった3件の事件と、全ての事件が絡まり最終章へ繋がっていくエピローグ。各章ごとに主人公が変わり、単独短編としても読める連作短編。
第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
自殺の名所「弓投げの崖」(ゆ・みなげのがけ)付近のトンネルで、車を走らせていた安見邦夫は急に動き出した車を避けようとして壁に激突。3人のうち運転していた男はひき逃げをもくろみ、まだ息のある邦夫の顔面を何度もハンドルにたたきつけた。 「男の顔は邦夫がこの世で見た最後のものとなった。」
妻・弓子の所には、死者がよみがえらせるという地元の宗教団体「十王還命会」の宮下志穂がしつこく訪れる。
一方、この事件の担当は蝦蟇倉署の隈倉と竹梨。弓子は言う「『ナオヤ……』と夫は、病室のベッドの上で、繰り返し、必死でそう口を動かしていました。何度も……」。 しかし、隈倉が逮捕を誓った1時間ほど前にすでの憎むべき男は現場で死んでいたのだ。
当日助手席に乗っていた森野雅也が見つかり、警察で話を聞かれた。後部座席にいた弟の浩之は「(梶原)尚人さんを殺したのは絶対あの男のカミさんだ」と言って出かけて行った。 「だって現場の近くのアパートに住んでるじゃないか」。 彼ら3人は新聞など読まなかった。
最後に誰かが車に跳ねられる。森野雅也か、安見邦夫か、隈島か?
この章はすでにアンソロジー「蝦蟇倉市事件1」に掲載されている。
第2章その話を聞かせてはいけない」
中国から来た珂(カー)少年が見た文具店での殺人は幻か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
「十王還命会」の支部に顔を出さない宮下志穂のマンションを支部長の守谷巧が訪ね、管理会社の中川徹に鍵を持ってきてもらい、彼女が死んでいるのを発見した。妻を亡くしている竹梨は、新米刑事の水元と捜査を続けていた。
第4章「街の平和を信じてはいけない」
略
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)
一回スイスイと読んだだけでは謎が謎のままだった。自分の乱暴な読み方をさておいて、著者の説明不足だと決めつけた。
「週刊読者人ウェブ」のこの作品に関するインタビューで道尾さんはこう言っている。
前に玄侑宗久さんと話していた際、こんなことを言われました。「道尾さんは読者を信頼しすぎじゃないか。一行で物語をひっくり返してしまうと、意味が分からない人もいるのではないか」。
どうしても謎解きしたい人は、「Soneyu Blog」をご覧あれ。
各章の最後の写真が大きなヒントになっているなんて、思いもしなかった。
第2章は他章とのつながりがよくわからないし、幻想じみた話が続くし、子どもが主人公なので、他の章のトーンが異なり違和感がある。