hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

志水辰夫『新蔵唐行き』を読む

2019年12月04日 | 読書2

 

志水辰夫著『新蔵唐行(とうゆ)き』(2019年10月20日双葉社発行)を読んだ。

 

「好書好日」のエクストラ

越後の廻船問屋の手代、新蔵は、蝦夷から北前船で戻る途中に行方を絶った若主人を探すため、全国を旅していました。長崎の福江島で唐船に救われた日本人の噂を耳にし、唐人の父を訪ねる少女とともに清国へ渡る決心をします。

 折しも、阿片(アヘン)戦争が始まろうとしていた矢先。波乱の時代に、新蔵は言葉もわからないまま港町を渡り歩き、若主人につながる情報を探ろうとします。港ではイギリス船やベルギー船までが押し寄せ、唐人同士の騙し合いも加わり、阿片を巡る陰謀が渦巻きます。

 しかし、どんなときでも怯まない新蔵は、度胸と采配によって艱難(かんなん)辛苦を乗り越え…。果たして若主人とは出会えるのでしょうか。時代劇の名手が綴る、大海を股にかけた長編小説です。

 

新蔵:名家・小此木(おこのぎ)家が経営する廻船問屋三国屋の手代。鉄芯入りの木刀での素振りを怠らない。

藤吉:泳ぎが得意。抜け目なくしぶとく生き抜く。

小此木孝義:三国屋の嫡子。指揮をとる第八龍神丸で蝦夷から兵庫へ向かう途中で消息不明。

小此木佐江:兄・孝義にかわり小此木家を経営。父・唯義は隠居。

ななえ:福江島玉之浦の漁師・六兵衛に育てられる。唐の大富豪・周士斐の娘。

鄭:新蔵がななえ”と共に唐へ向かった萬慶(ばんけい)号の船長。

沈:鄭が用意した川船(サンパン)・東風の所有者。

張:通事(通訳)

黄(封巾)(ふあんぱん):寧波を抑える荷を運ぶ結社。

紫(封巾)(しはん):福州を抑える結社。悪辣で「いま倭寇」と呼ばれる。

以下略

 

本作品は書き下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

波乱万丈の活劇小説で面白く読める。私よりはるかに(?)高齢の著者のエネルギーには感嘆だが、いかにも古めかしいスタイルだ。

 

おまけに、登場人物の大部分は中国人で、名前が覚えにくい。中国の小さな町、港の詳細な描写があるが、著者は現地を訪れたのだろうか? いずれにしても驚異だ。

 

この本を読んだ理由は、新刊本リストを眺めていて、志水辰夫の名前から、若桜木虔の『 ミステリー小説を書くコツと裏ワザ』に以下のようにあった(ブログに書いた)ことを思い出し、一度は読んでみようと思ったのだ。

「地の文(風景描写)が上手い志水辰夫氏の作品を勉強すること。」

しかし、読んでいるうちに、筋を追うことに専念していて地の文などは速読してしまっていた。今、パラパラ読むと、子供が遊んでいる中国の田舎町の描写などよく書けているが、活劇小説では目立たない。

 

 

 

 

志水辰夫の略歴と既読本リスト

 

 

コメント
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