hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

山本文緒『ばにらさま』を読む

2021年12月18日 | 読書2

 

山本文緒著『ばにらさま』(2021年9月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

文藝春秋BOOKSの作品紹介

冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい

日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇

島清恋愛文学賞、本屋大賞ノミネート『自転しながら公転する』の山本文緒最新作! 
伝説の直木賞受賞さく『プラナリア』に匹敵るす吸引力! これぞ短編の醍醐味!


ばにらさま  僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい……。
わたしは大丈夫 夫と娘とともに爪に火をともすような倹約生活を送る私。
菓子苑 舞子は、浮き沈みの激しい胡桃に翻弄されるも、彼女を放って置けない。
バヨリン心中 余命短い祖母が語る、ヴァイオリンとポーランド人の青年をめぐる若き日の恋。
20×20  主婦から作家となった私。仕事場のマンションの隣人たちとの日々。
子供おばさん 中学の同級生の葬儀に出席した夕子。遺族から形見として託されたのは。

 

「ばにらさま」

デブで汗かきで冴えない中嶋広志に、信じられないほど可憐でモデルみたいな恋人・瑞希ができた。なぜかよそよそしくなったり、急に自宅に呼んだりする彼女。広志はネットでまさかと思う日記を発見し、‥‥。

 

「わたしは大丈夫」

家族3人でケチケチ生活の秋穂は、かってキャリア指向でMBAもと頑張っていた。認めてくれた達也と不倫に走ってから‥‥

 

「菓子苑」

舞子が「泊っていけば?」と言ったのに胡桃は「明日早番だし」と返し、帰りぎわに「また一緒にすまない?」と言った。……私はずっと昔から彼女の願いを断るのが下手だった。今回も断れないのだろうか。実は胡桃は…

 

「バリヨン心中」、「20×20」、「子供おばさん」  略

 

 

初出 ばにらさま:「別冊文藝春秋」2008年、‥‥、20×20:「小説トリッパ―」2015年、‥

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

私が『プラナリア』で衝撃を受けてファンとなった山本文緒さんの久しぶりの短編集で、しかも遺作なのだから、五つ星にせざるを得ないだろう。

 

どこにでもいる女性の、普通の話を語る。しかし、その女性の意外な裏の考え方を明らかにして、思いがけない展開にもってゆく。

 

文藝春秋BOOKSの著者メッセージで山本さんはこう言っている。

‥‥
ステレオタイプと呼ばれる女の子達にも、内面にはその人しか持つことのない叫びや希望があるはず。そんなことをテーマにこの小説集を作りました。

 どの作品にも「え?!」と驚いて頂けるような仕掛けを用意しましたので、きっと楽しんで頂けると自負しております。

 

感心した所

ティッシュの箱を中味ごとまっぷたつに切る。半分でも結構使えるので節約になる。取り出しにくいけど(p75)。

 

 

山本文緒(やまもと・ふみお)
1962年神奈川県生まれ。神奈川大学経済学部卒業後、OL。

2021年10月13日膵臓がんにより軽井沢の自宅で死去。

1987年少女小説家としてデビュー。

1999年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞

2001年『プラナリア』で直木賞受賞

2003年40歳の時にうつ病を発症して約6年の闘病生活を過ごした。

2007年 うつ闘病日記であるエッセイ『再婚生活』で復帰

2020年『自転しながら公転する』が7年ぶりの小説

著書に『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『落花流水』『ファースト・プライオリティー』『アカペラ』『なぎさ』など

エッセイに『そして私は一人になった』『再婚生活』     など。

共著に、文藝春秋編『直木賞受賞エッセイ集成

 

 

煌(きら)びやかな

 

 

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