東野圭吾著『クスノキの女神』(2024年6月5日実業之日本社発行)を読んだ。
少女と少年には秘密があった——。
不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。
累計100万部突破! 待望のシリーズ第2弾!
神社に詩集を置かせてくれと頼んできた女子高生の佑紀奈には、玲斗だけが知る重大な秘密があった。
一方、認知症カフェで玲斗が出会った記憶障害のある少年・元哉は、佑紀奈の詩集を見てインスピレーションを感じる。
玲斗が二人を出会わせたところ瞬く間に意気投合し、思いがけないプランが立ち上がる。
不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。
待望のシリーズ第二弾!
第一弾の『クスノキの番人』
本編と同じ主人公・直井玲人(れいと)は、20代前半で、犯罪を犯してしまった。その彼の前に、突然現れた日本を代表する企業・柳澤グループの最高顧問で、70代の柳澤千舟(ちふね)は「あなたの亡き母親の、歳の離れた姉です」と名乗り、「神社の木の番人」という職業に就くことになり、その後「クスノキ」の謎が次々と描かれていった。
クスノキの祈念には予念と受念がある。予念は、自分が伝えたいことを念じると、その念がクスノキに刻み込まれる。それを受取るのが受念だ。
本書では、参拝客はほぼ無く、お守りやお札も売っていないこの月郷(つきさと)神社の管理人・玲斗の前に、「神社に詩集を置いてほしい」と女子高校生が弟と妹を連れて現れるところから話が始まる。
玲斗は断ろうとするが、美少女・早川佑紀奈に頭を下げられ承知してしまう。
約一か月後、町で地元の実業家・森部が頭を殴られ、100万円が奪われる事件が起こる。金を払わず詩集を持ち逃げした中年の久米田康作が、監視カメラに写っていたとして警察に呼ばれた。
そんな折、MCI(軽度認知障害)を患っている千舟の付き添いで訪れた認知症カフェで、玲斗は眠るとその日の記憶を失くしてしまう中学2年の針生(はにゅう)元哉と出会う。彼には優れた絵の才能があり、月郷神社にある佑紀奈の詩集にインスピレーションを受け、文才のある佑紀奈と絵本を作ろうということになる。
本書は以下の作品をもとに加筆し、長編としてまとめたもの。
「おーい、クスノキ」前後編 THE FORWARD Vol.1,2
「今日の僕から明日の僕へ」第1回~第四回 THE FORWARD Vol.3~6
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)
いつも理詰めで、冷静な文体の、単純理工系と思える東野さんだが、この作品では心温まる話をどんどん出してきて、「大丈夫? 東野さん」と思ってしまう。もっとも、出す本、出す本ヒットしているのに、常に何らかの新しい試みに挑戦してきた東野さんなので、驚きはしなかったが。
心の揺らぎを描こうと丁寧に書かれているので、いつものスピード感がないが、わかりやすい文章なのでスイスイ読める。
大した話じゃないが、表紙の絵がゴタゴタしていて、美しいと思えず、訴えるものもない。
また、どうでもいいけど、意外や意外、東野さん、スターウォーズ詳しい!