hiyamizu's blog

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東野圭吾『素敵な日本人 東野圭吾短編集』を読む

2018年03月22日 | 読書2

 

東野圭吾著『素敵な日本人 東野圭吾短編集』(2017年4月5日光文社発行)を読んだ。

 

約30ページの短編が9編。

 

1. 正月の決意
夫婦二人きりになった前島達之は書初めをし、康代は屠蘇を用意し、朝6時に地元の氏神様へ初詣に出かけた。賽銭箱の前で町長が倒れていた。下着姿で頭部を鈍器で強く殴られていたが、意識は戻ったが、記憶はないという。以下、白字。社務所の奥に潜んでいた教育長が発見され、・・・、本殿の鈴が・・・。

2. 十年目のバレンタインデー

バレンタインデーの夜に1年以上新作を出していない作家の峰岸は10年ぶりに津田知里子から呼び出されてフレンチレストランで会っていた。峰岸と付き合っていた知里子は大学のサークルの後輩で、突然別れを告げてきたのだった。

以下、白字。彼女は友人の藤村絵美が小説を書いていて、自殺したのではなく、殺されたのだと話し出す。知里子は、峰岸が書けなくなるのを待っていて、連絡したのだった。

3. 今夜は一人で雛祭り

3年前、三郎は妻加奈子をくも膜下出血で失った。一人娘の真穂は研修医の木田修介と結婚することになった。三郎は、木田家が地方の大病院を経営する資産家だと知る。顔合わせの席で、姑は修介も地元に帰って経営する病院で働き、真穂は専業主婦になるのよね、と告げる。三郎は、家に帰って自分の母が気の強い女性で、妻加奈子が苦労したことを思い出した。

心配する三郎に真穂は言う。「でも心配しないでいい。私にはお母さんの血が流れているから」「だから我慢強いっていうのか」「我慢?」真穂は首を傾げた後、くすくす笑った。「お父さん、何もわかってなかったんだね」

そう言って真穂は七段飾りの雛人形を指さした。

4.   君の瞳に乾杯

競馬場に出入りし、彼女いない歴8年の内村は、相手がモデルだという合コンに参加し、アニメ好きのモモカと意気投合する。何回目かのデートで告白すると、モモカは素顔を見れば幻滅するとカラーコンタクトを外す。

以下、白字。彼女は内村たちが長年探し求めていた女性だった。内村は警視庁捜査共助課で、指名手配者の特徴を記憶し街中から見つけ出すという見当たり捜査に従事していた。

5.   レンタルベビー

長期休暇中のエリーはレンタルの赤ちゃんロボットを借り、アキラとともに育児を楽しむことにした。育児は大変だったが、本当に楽しかった。エリーは今後も結婚も出産も迷い続けるつもりだ。

以下、白字。アキラは仮想ダディだったが、エリーは平均寿命のまだ半分の60歳なのだから。

6.   壊れた時計

男は、時刻が17時から19時の間に、ある家の白い彫像を盗むように依頼された。男は、ひょっこり帰ってきた家主を殺してしまい、壊れて止まった腕時計は余計な小細工に見えてしまうと外して盗み、時計屋で直して、男の腕に戻した。これが悪かった。

7.   サファイアの奇跡

美玖は近くの神社で猫を見つけた。パン、チーズかまぼこ、クッキーをあげたが見向きもしないで、マシュマロを喜んで食べた。美玖は彼にイナリと名前を付けピンクのベルトを着けて可愛がった。しかし、車にひかれて死んでしまった。

仁科は毛色が完全なブルーのペルシャ猫で雄のサファイアを増やそうとしたが、15匹失敗していた。サファイヤの17匹の子供が生まれると持ち主に死が訪れるとのジンクスを信じて、サファイアの去勢のために病院へ連れて行った。

以下、白字。そこで、ペット美容室で働く成人した美玖が入って来て、イナリと呼び、マシュマロをあげる。サファイアの脳は移植してイナリの脳だった。

8. クリスマスミステリ

脚本家の弥生の作品で人気が出た劇団員の黒須は、弥生に毒を飲ませるが、彼女は死なない。しかし、その後、・・・。

9. 水晶の数珠

父が会長の会社に勤める直樹は退職してハリウッドで夢を追っていた。姉から電話があり、父が末期がんでもう危ないから帰国してくれと要請された。夢実現の困難さに負け、オーディションを諦め日本に戻り父に会いに新幹線に乗った直樹に、父から電話がかかってくる。「馬鹿な夢をようやく諦めたか。オーディションなど受かるわけがない。日本での仕事は俺が用意してやる。」と言った内容で、直樹は怒って、そのまま成田に引き返し、米国へ戻った。しかし、オーディションに落ち、無為に毎日を過ごしていたところに父の訃報が届いた。

以下、白字。直樹だけへの遺言状には、水晶の数珠は呪文を唱えれば人生に一度だけ過去に戻れるとあった。父は万が一の場合は数珠に頼ろうと思い切った勝負に出て、実際には今までは使わなかったらしい。そして、帰国の翌日新幹線が事故で止まって直樹は米国へ帰れず、オーディションは受けられなかった。父は数珠の力で一日戻り、新幹線に乗車中の直樹を怒らすように電話したのだった。

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

東野さんの作品は気楽にすいすい読めるのだが、なにしろこの本は短編集だ、“すい”で読めてしまう。易きに流れる私のような人間には大変ありがたい。

読んだあとには何も残らず煙と消えるのもありがたい。

 

なぜタイトルが「素敵な日本人」なのかはピンと来なかった。なぜ?

 

 

東野圭吾の履歴&既読本リスト

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