香山リカ著『精神科医はへき地医療で”使いもの”になるのか?』(2024年7月17日星和書店発行)を読んだ。
ベテラン精神科医が、総合診療医に転身!
一念発起して北海道にある穂別町で「へき地医療」を始めた著者が、日常診療で思うところをつづったエッセイ。苦労も喜びも多い日々で考える、「こころを診る・からだを診る」こと――。プライマリ・ケア医として日々格闘しながらどんな診療をしているのか、何を思うのか、つぶさに語った。
『61歳で大学教授やめて、北海道で「へき地」のお医者さんはじめました』 の続編にもなっている。
精神科医になって35年、大学教員になってからも20年以上で、一般診療の経験がほとんどない香山さんがへき地診療所で、ベテランの所長と共に、総合診療医として働くことになった。
・マダニの取り方を学ぶ(マダニをピンセットでうまくはさんでクルクルッと回して刺し口ごとスポット取る)
・患者の前で、「内科外科マニュアル」を見ながら診察する
・しばらくは、「へき地診療医の薄い皮をかぶった精神科医」くらいの気持ちでのんびりやることにした。
・これはメンタル科の対象だなと思うと、つい総合診療科のワクを超えて対処しそうになる。ところが、そうやった元のなわばりの精神科のフィールドに呼び込むと、今度は総合診察科医としての見方ができなくなってしまうことがある。
本書は、星和書店のメールマガジン「こころのマガジン」で2022年9月から2024年5月まで掲載された連載コラム「精神科医はへき地医療で“使いもの”になるか?」をもとに加筆・修正されたものです。
参考:以下で、へき地勤務になるまでの経緯を香山さんが詳しく語っている。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
率直な香山さんが、恥も外聞もなく、患者さんを前に診断がつかず、ああでもない、こうでもないと、迷ったり、措置をためらったりする様がありていに語られる。本人が言うよりはるかに優秀で、勉強家の香山さんだけが、診断に迷っているわけではないだろう。多くの医者が、大小はあっても、おそらく迷い、悩むことが多いのだろう。
それにしても、外科と内科などの差とくらべても、精神科と一般診療の差は大きいのではないかと推測できる。
頑張れ、香山さん!