UPLINKS吉祥寺で映画「PLAN75」を観た。
館内はほぼ満員。圧倒的に高齢者が多い。
公式サイトはこちら(予告編)。
ポスターは以下。
高齢化の進む日本では、国会でのさまざまな議論を経て、自ら死を選択した75歳以上の高齢者を、国が死に至らしめる「プラン75」が運用されている。
夫と死別した78歳の角谷ミチ(倍賞千恵子)は、高齢を理由に清掃の仕事を解雇される。職はなかなか見つからず、住居もなくなりそうなミチは、プラン75申請に追い込まれていく。
制度申請窓口である市役所の職員、申請した高齢者が最終決断に至るように導くコールセンターのスタッフ、難病の息子の手術代を稼ごうと「PLAN 75」関連施設で働くフィリピン女性、彼らも迷い、苦悩する。
監督は、初長編監督の早川千絵。主演は倍賞千恵子。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
映画として出来栄えはそれほどのものではないと思える。最初から大きな流れは決まっているようなもので、あとは見ている人を充分納得させられるかどうかになる。その点でも具体的に起こる事柄も「そうだろうなあ」と思うにとどまり、強いメッセージはない。最終段でひずみが一気に弾けるのだが、ようやっとという気がした。
小説や映画の「楢山節考」の衝撃と比べてしまうので評価が厳しくなってしまった。
オランダやベルギーでは、耐えがたい苦痛により死を希望する患者に医師が薬により安楽死に導くことができる。しかし、これは死の床にある人に対する処置であり、高齢者一般に対するものではない。
現在の日本でも、ときどき死刑になりたいためと言って、凶悪犯罪を犯す者がいるし、ごく高齢になり、もはや何もできないから死にたいと願う人もいる。しかも一方では、高齢者に生きる権利が実際に保障されているわけではない。
私は、「プラン85」で、支度金が50万円でなく200万円で、相方が先立っているなら、選択したいと思った。