かぶれの世界(新)

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私の「沁みる夜汽車」

2022-06-03 21:00:53 | 日記・エッセイ・コラム
昨日だったか鉄道を舞台にした心温まる実話が謳い文句のNHK番組「沁みる夜汽車」を見た。新聞の番組表で題名は何度も見たことがあるが、特別ファンという訳でもなくたまたま見ただけだ。テレビをつけたまま調べ物をしていると、たまたま番組をぼんやり見てたが引き込まれた。

小学生の娘が誰かに席を譲ろうと申し出たが、少し年上の学生が次の駅で降りると言い席を譲った。実際にはそれは嘘でもっと先の駅で降りた。それを見て娘は嘘をつくのはいけないと思ったが、後になって「優しい嘘」だと分かった。一方、母親はそんな娘の成長に心を打たれたというもの。

初めて見た15分の短い番組だったが、文字通り心に沁みるものを感じた。そして私は10年前頃の自分を思い出した。私が高齢者の年齢になった頃で京王線で新宿に向かっている時だった。車内は通勤時間帯直後で乗客が多かった。その頃の私は他に空席が無ければ遠慮なく優先席に座ってた。

暫くして目の前に恰幅の良い中背の老人が立った時、瞬間的に「どうぞ」と言って席を立った。一見して彼は私より老けており席を譲るべきだと思った。その時彼は瞬間的に「いいや、大丈夫」と言って私の胸に手を当てて押し返した。その手の力強い感触に驚き苦笑いして席に座った。

私より老けていると思ったのに手の圧力の凄さに驚いた。今でもその時の老人の力強さは鮮明に記憶に残っている。いささか身勝手ながら、良い事をして断られたというより、見かけ老けていると思った老人が私より力が強いと実感した時の驚きの印象だ。悔しいというべきか。

これが私の身勝手バージョン「沁みる夜汽車」、実は朝だったが、の感想だ。因みに私は今でも妊婦や老人(私より老けて見える場合)が車内の近くにいると必ず席を譲る。逆に、まだ家族以外の誰も席を譲ってくれたことがないのが私の自慢だ。その代わり空席を見つけて素早く座る。■
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