一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2022年度のフリークラス転出者、引退者

2023-04-08 23:52:27 | 将棋雑記
先日、2022年度のフリークラス転出者、引退者が発表された。

■フリークラス転出
南芳一九段
富岡英作八段

■引退
石川陽生七段
川上猛七段
上野裕和六段
北尾まどか女流二段
カロリーナ・フォルタン女流初段

南九段は1981年1月四段。いわゆる「花の55年組」のひとりだ。1980年代後半に棋聖、棋王、王将を計7期獲得し、花の55年組の出世頭だった。
その風貌から「リトル大山」と呼ばれ、私は「南九段は長いこと上位クラスに君臨する」と信じていた。
ところが南九段は徐々にクラスを落とし、今回ついにフリークラス転出を宣言した。昨年度の成績が2勝21敗ではやむを得ないが、こんなひどい成績、全盛時では考えられなかった。

富岡八段は1984年12月、四段。若手時代から好成績を残し、1992年には順位戦B級1組に昇級。翌1993年の第52期B級1組順位戦では、8局を終え7勝1敗(不戦勝1を含む)。残り3局を1勝で昇級が決まるので、A級はほぼ手中にしたと思われた。
ところが富岡八段は、そこから3連敗。無念の3位に終わり、昇級は叶わなかった。以降、富岡八段がA級に昇ることはなかった。
もしこのとき富岡八段がA級に昇級していれば、その後の棋士人生も変わったに違いない。

石川七段は1986年5月四段。振り飛車党で、中でも三間飛車を得意とした。2005年の第55回NHK杯将棋トーナメントでは中原誠永世十段に勝ったが、この将棋は名局と思う。
2017年の第29回将棋ペンクラブ大賞では、「三間飛車名局集」(日本将棋連盟)で技術部門優秀賞を受賞した。贈呈式には当然石川七段も出席したが、「棋士紹介」のコーナーではスピーチの場に立たず、ニコニコ笑っているだけだった。ご自身が目立つのを佳しとしなかったようだ。

川上七段は1993年、奨励会三段リーグを15勝3敗で1期抜け。20歳の俊英にはきらびやかな未来が約束されたはずだったが、現実は甘くなかった。
フリークラスに陥落してもたびたび好成績を残し、順位戦復帰の一番を3回戦ったが、いずれも敗れた。そのあたりは当ブログに詳しいが、その結果が今回の引退である。本当に残念だ。
ただし川上七段は現在竜王戦4組で、このクラスにいる限り、竜王戦は永遠に指せる。
ただ、今期はすでに2連敗しており、次の残留決定戦に敗れると、5組に降級してしまう。引退の身では力も入らないだろうが、とりあえず残留は決めたいところだ。

上野六段も引退。上野六段は将棋ペンクラブ関東交流会に何度もゲスト出演してくれ、私も指導対局を受けたことがある。
今回の引退は残念だが、上野六段の奥様はお医者さんである。私から見ればそれだけで、人生の勝者と思える。

女流棋士に目を転じると、北尾女流二段の引退が意外だった。どうも、総合的な成績での引退のようだ。ここ2年、白玲戦・女流順位戦の降級点ばかりに目がいっていたが、他棋戦での降級点制度も、まだ生きていたわけだ。
……が、北尾女流二段はそんなに成績が悪かったか? あぁまあ、そう言われればそうか。
もっとも、北尾女流二段はすでに経営者であり、「どうぶつしょうぎ」がらみで収入が保証されてもいるし、今回の引退もどうということはあるまい。

カロリーナ女流初段も引退。昨年結婚しポーランドに帰ったが、そこで生活することになり、現役生活に区切りを付けたようだ。
北尾女流二段の引退も含め、師匠の片上大輔七段には、二重のショックであっただろう。

皆様、長い間お疲れさまでした。
コメント
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