(2022年10月10日のつづき)
2022年12月23日、1年振りの旅行は再び九州・長崎へ。この間、ゴールデンウイークは博多どんたくに行けず、いやどこにも行けず、夏休みもなく、将棋で無聊を慰めていた。今回はマスターのマジックを堪能して、少しでもエナジーを回復したいところだ。
九州は一部雪の予報だったが、飛行機は滞りなく出ているようだ。私は06時17分発の山手線に乗ったが浜松町で降りず、品川まで行く。京急が特別料金で安くなっているので、こちらを利用するのだ。
タイミングよく快特に乗り、タイム17分で羽田空港第1・第2ターミナルに着いた。行きの飛行機は定番のスカイマークだ。神戸空港で一旦降りるのがアレで、時間はかかるが料金は安く、「いま得」で10,980円だった。ちなみに2021年は、日程と予約時期が微妙に違うこともあったが、わずか7,990円だった。
滞りなく飛行機は出発し、09時05分、神戸空港着。一旦待合室で待つ。
空は気持ちのわるい雲が広がっている。神戸だから関係ないが、長崎にこれがあると面白くない。
20分後、再び搭乗。101便から141便に名称が変わり、我が席も新たな席に代わった。昨年までは、一旦降機しても同じ席だった。09時40分、神戸空港発。
機内からの空は晴れていたが当たり前で、私たちは厚い雲の上を飛んでいるのだ。
長崎空港へは10時55分に着いた。空は曇天で、いましも雨が降りそうな厚い雲が広がっている。不吉な予感がするが、もっともきょうは、天気はほとんど関係ない。
11時20分、長崎空港線の路線バスが発車した。約45分後、定刻を5分遅れて川棚バスセンターに着きそうになったが、誰も降車ボタンを押さない。結局私が押したが、川棚で降りたのは私だけだった。クリスマスイブイブのこの日、わざわざ川棚まで来てマジックを見る物好きはいないということか。
さて、きょうは金曜日、平日なので旅行貯金ができる。川棚駅前に郵便局があり、だいぶ昔に1回貯金をしたことがある。自分ルールでは同じ郵便局で2度貯金をしないが、やむを得ない場合はこの限りではない。要するに何回してもよい。「川棚駅前郵便局・1223円」。この時期の貯金額はかなり高い。
あんでるせんは現在飲食の提供をしていないので、昨年も入った「まゆみ」に入る。しかし昨年食べた海鮮天丼(1,000円)は、この時間は生ものはやっていないということで、不可だった。
仕方がないので、「ハンバーグとエビフライセット」をオーダーする。これはボリュームがあって美味かったが、1,400円は散財してしまった。旅行に出ると気が大きくなっていけない。
さてあんでるせんの前に来たが、13時開店の時間が近づいても、あまり人がいない。
と、1階から客がゾロゾロ出てきた。そうだ、ここは以前コインランドリーだったが、数年前から待合室になっていたのだ。
店内に入ると、そこそこ人がいた。ただ、満席にはなっていないようだ。とりあえず平日なのと、前述の通り、クリスマスイブイブということもあるのかもしれない。
私は大テーブルの一角に腰を下ろすが、すぐマジックが始まるので意味はない。ただ、お冷は出てきた。ここのレトルト風カレーライスが懐かしいが、コロナが収束したら、また食べられるようになるのだろうか。
奧さんらしきいつもの女性が出てきて、見学料を徴収したあと、恒例の席決めである。私はカウンター後ろの、いちばん右の場所となった。立ち見としては、まあいいほうである。全体では私を含めて19名。カウンターも含めて3列で済んだ。男性7名、女性12名で、これはうれしい。私の高校がこの男女比率だったら、私はまったく違う人生を送っていたと思う。
13時32分、マスターが登場した。毎年思うことだが、マスターは本当に歳を取らない。少なくとも初対面から23年経っているのに、メガネをかけた以外は、外見上何の変化もない。
対して私はブクブク太り、頭もハゲ散らかして、結婚もできず、合わせる顔がない。あんでるせんに来るたびモヤモヤした気持ちになるのは、そのためである。
マジック開演である。マスターが「どなたか指環を貸してください」という。お馴染みのマジックだが、ネタが分かっていても興味深い。
みなはマジックを見て驚くが、私はその反応を見てゲラゲラ笑う。しかしこれは厳密にいえば不健全な反応であって、みなと同じく驚かねばならないのだろう。だから私は、あんでるせんを卒業しなければならない人間だと思う。だけどそれが受け入れられず、私は毎年ダラダラと長崎に来ている。人間失格だと思う。
マジックは滞りなく進む。なお私は今回、二千円札を除く一通りの紙幣と通貨を用意している。もし入り用なら出すが、そこまで貪欲ではない。
マスターがお札を所望した。やや時間がかかっているが、出そうとしている人はいる。
「こういうのは早く出すことで(このマジックを見ることの)積極性が分かりますよ」
とマスター。それなら全種類を用意している私は該当するかと思うが、出さなければ意味がない。
マジックはいくつも進み、そのたびに3番の女性が棒を引いている。その何度目かに、私が当たった。
ただし残念、私に与えられた指令は、カードの間にスコップを突っ込む振りをして、「スコップ!」と叫ぶ、例のやつだった。
私は都合3度スコップと叫び、カウンターの上にカードの山が4つ並んだ。傍らには音楽再生プレイヤーが置かれ、ウルトラセブンのイントロが流れている。
マスターが音楽に合わせてカードを開くと、7が4枚並んだ。マスターが失敗することはないと思うが(何度かあるが)、私もホッとする。
この後「AKB48」もやったが、このときは「B」と「8」が入れ替わっていた。
まあそれはともかく、マスターはこのレパートリーがかなりあるという。しかし私が聞いたのは、この数年でこの2曲だけである。ほかの曲も聴いてみたいところだ。
マスターが、新たに千円札を所望した。しかしまたみんなまごまごしている。私はすぐにでもポケットから出せる。出すか? 出さないのか?
(つづく)
2022年12月23日、1年振りの旅行は再び九州・長崎へ。この間、ゴールデンウイークは博多どんたくに行けず、いやどこにも行けず、夏休みもなく、将棋で無聊を慰めていた。今回はマスターのマジックを堪能して、少しでもエナジーを回復したいところだ。
九州は一部雪の予報だったが、飛行機は滞りなく出ているようだ。私は06時17分発の山手線に乗ったが浜松町で降りず、品川まで行く。京急が特別料金で安くなっているので、こちらを利用するのだ。
タイミングよく快特に乗り、タイム17分で羽田空港第1・第2ターミナルに着いた。行きの飛行機は定番のスカイマークだ。神戸空港で一旦降りるのがアレで、時間はかかるが料金は安く、「いま得」で10,980円だった。ちなみに2021年は、日程と予約時期が微妙に違うこともあったが、わずか7,990円だった。
滞りなく飛行機は出発し、09時05分、神戸空港着。一旦待合室で待つ。
空は気持ちのわるい雲が広がっている。神戸だから関係ないが、長崎にこれがあると面白くない。
20分後、再び搭乗。101便から141便に名称が変わり、我が席も新たな席に代わった。昨年までは、一旦降機しても同じ席だった。09時40分、神戸空港発。
機内からの空は晴れていたが当たり前で、私たちは厚い雲の上を飛んでいるのだ。
長崎空港へは10時55分に着いた。空は曇天で、いましも雨が降りそうな厚い雲が広がっている。不吉な予感がするが、もっともきょうは、天気はほとんど関係ない。
11時20分、長崎空港線の路線バスが発車した。約45分後、定刻を5分遅れて川棚バスセンターに着きそうになったが、誰も降車ボタンを押さない。結局私が押したが、川棚で降りたのは私だけだった。クリスマスイブイブのこの日、わざわざ川棚まで来てマジックを見る物好きはいないということか。
さて、きょうは金曜日、平日なので旅行貯金ができる。川棚駅前に郵便局があり、だいぶ昔に1回貯金をしたことがある。自分ルールでは同じ郵便局で2度貯金をしないが、やむを得ない場合はこの限りではない。要するに何回してもよい。「川棚駅前郵便局・1223円」。この時期の貯金額はかなり高い。
あんでるせんは現在飲食の提供をしていないので、昨年も入った「まゆみ」に入る。しかし昨年食べた海鮮天丼(1,000円)は、この時間は生ものはやっていないということで、不可だった。
仕方がないので、「ハンバーグとエビフライセット」をオーダーする。これはボリュームがあって美味かったが、1,400円は散財してしまった。旅行に出ると気が大きくなっていけない。
さてあんでるせんの前に来たが、13時開店の時間が近づいても、あまり人がいない。
と、1階から客がゾロゾロ出てきた。そうだ、ここは以前コインランドリーだったが、数年前から待合室になっていたのだ。
店内に入ると、そこそこ人がいた。ただ、満席にはなっていないようだ。とりあえず平日なのと、前述の通り、クリスマスイブイブということもあるのかもしれない。
私は大テーブルの一角に腰を下ろすが、すぐマジックが始まるので意味はない。ただ、お冷は出てきた。ここのレトルト風カレーライスが懐かしいが、コロナが収束したら、また食べられるようになるのだろうか。
奧さんらしきいつもの女性が出てきて、見学料を徴収したあと、恒例の席決めである。私はカウンター後ろの、いちばん右の場所となった。立ち見としては、まあいいほうである。全体では私を含めて19名。カウンターも含めて3列で済んだ。男性7名、女性12名で、これはうれしい。私の高校がこの男女比率だったら、私はまったく違う人生を送っていたと思う。
13時32分、マスターが登場した。毎年思うことだが、マスターは本当に歳を取らない。少なくとも初対面から23年経っているのに、メガネをかけた以外は、外見上何の変化もない。
対して私はブクブク太り、頭もハゲ散らかして、結婚もできず、合わせる顔がない。あんでるせんに来るたびモヤモヤした気持ちになるのは、そのためである。
マジック開演である。マスターが「どなたか指環を貸してください」という。お馴染みのマジックだが、ネタが分かっていても興味深い。
みなはマジックを見て驚くが、私はその反応を見てゲラゲラ笑う。しかしこれは厳密にいえば不健全な反応であって、みなと同じく驚かねばならないのだろう。だから私は、あんでるせんを卒業しなければならない人間だと思う。だけどそれが受け入れられず、私は毎年ダラダラと長崎に来ている。人間失格だと思う。
マジックは滞りなく進む。なお私は今回、二千円札を除く一通りの紙幣と通貨を用意している。もし入り用なら出すが、そこまで貪欲ではない。
マスターがお札を所望した。やや時間がかかっているが、出そうとしている人はいる。
「こういうのは早く出すことで(このマジックを見ることの)積極性が分かりますよ」
とマスター。それなら全種類を用意している私は該当するかと思うが、出さなければ意味がない。
マジックはいくつも進み、そのたびに3番の女性が棒を引いている。その何度目かに、私が当たった。
ただし残念、私に与えられた指令は、カードの間にスコップを突っ込む振りをして、「スコップ!」と叫ぶ、例のやつだった。
私は都合3度スコップと叫び、カウンターの上にカードの山が4つ並んだ。傍らには音楽再生プレイヤーが置かれ、ウルトラセブンのイントロが流れている。
マスターが音楽に合わせてカードを開くと、7が4枚並んだ。マスターが失敗することはないと思うが(何度かあるが)、私もホッとする。
この後「AKB48」もやったが、このときは「B」と「8」が入れ替わっていた。
まあそれはともかく、マスターはこのレパートリーがかなりあるという。しかし私が聞いたのは、この数年でこの2曲だけである。ほかの曲も聴いてみたいところだ。
マスターが、新たに千円札を所望した。しかしまたみんなまごまごしている。私はすぐにでもポケットから出せる。出すか? 出さないのか?
(つづく)