(12日のつづき)
「福岡までの高速道路が、雪で一部通れないのです」
女性係員が散文的に言う。
まさか福岡の雪に影響されるとは思わなかった。不通は何時間かあとに解消されるだろうが、それまで待っているわけにはいかない。よって、時間とカネはかかるが、JRを利用することにした。まあこちらのほうが、基山でスムーズに乗り換えできる利点はある。
とりあえず基山までの切符を買う。駅内に入ると、新幹線乗り場に「かもめ」が入線していた。私には縁のない乗り物で、遠くから眺めるだけである。

11時02分、区間快速のシーサイドライナーに乗った。きのう乗った道を引き返すのは味がわるいが、きょうは昼だからよい。
私は諫早で途中下車する。基山までは営業キロが100キロを越えているから、それが可能なのだ。
諫早駅は数年前から再開発に入っていたが、今回新幹線の途中駅となり、立派に稼働していた。島原鉄道ももちろん営業していたが、きょう乗るわけにはいかない。
駅前の歩道橋を歩くと、大きなスーパーマーケットがあったところは、巨大駐車場になっていた。また私の思い出の地が消えたが、これは仕方ない。
さらに少し行ったところの諫早バスターミナルは、ひっそりとしていた。私はそれを横目に、例の町中華に向かう。きのうは行けないと思っていたところだ。

町中華「なるほど」は営業していた。ここ数年、私の贔屓の店がことごとく廃業しているのでここもどうかと思ったが、まずはほっとする。
お昼時でもあり、中はそこそこ客がいた。隅のカウンターに座り、ちゃんぽんをオーダーする。750円で何年か前より50円値上げしたが、しょうがない。
目の前には無料のみかんが置いてある。まあ、今回はいただかなくていいだろう。
人が少なくなり、テーブルを案内された。出てきたちゃんぽんは美味かった。ただ、餃子の王将のそれも美味かった。むしろそちらのほうがより口に合う気がするが、それほどチェーン店も、味の研究をしているということだ。
大いに満足しなるほどを出て駅近くに戻ると、先のバスターミナルは結局のところ、引越しをして営業を終えていた。
新駅舎のすぐそばに、新バスターミナルが移動していた。付属の建物にはいくつもテナントが入り、ここだけは諫早の発展を思わせる。
階段脇にはピアノが置いてあり誰でも弾けるようだが、いまは誰もいない。
引きつづき長崎本線に乗る。この気動車のデザインはお絵描き風で、面白い。JR九州はJR6社の中で、最も車両デザインに力を入れていると思う。


車内はけっこう乗客がいたが、湯江で余裕ができ、座ることができた。
思ったのだが、基山までではなく、博多まで買っちゃうべきだったか。どこかで西鉄に乗れたらそのほうが安いと思ったのだが、それがどこから出ているか分からない。感覚的なものではなく、もっとしっかり調べるべきだった。
13時52分、肥前浜で乗り換え。次の鳥栖行きは14分遅れてきたが、このくらいの遅れはなんでもない。それよりも、久し振りの鉄分補給で、私は満足である。
鳥栖に着いたのは15時17分。定刻を3分遅れまで縮めてきた。
ここから鹿児島本線に入るが、反対側のホームに福間行きの列車が入線している。スマホの調べでは15時33分のはずだが、これは何か。
反対側に行く列車だとアレなので見送ったが、列車はもちろん、博多方面に行った。
しまった……。福間は博多の先じゃないか。調べるとこれは15時15分発で、遅れた我が列車を待っていてくれたのだ。まったく、のんびり列車旅なぞ楽しんでいるから、急な選択を迫られたときに正解を逸する。
気を取り直し、15時33分から2分遅れの区間快速に乗る。基山には1分遅れの15時42分に着いた。
さて、ここから待望の基山鉄道である。かつての4番線に発着しており、パッと見はJRと変わらない。
4番ホームに降りると、古風すぎる便所があった。JRだったら撤去されていたかもしれないが、基山鉄道用に残ったのかもしれない。

基山発15時59分の列車に乗る。そこそこの乗客があった。私は車内に掲げられている路線図を見る。すると、基山から2つ目の小郡が、西鉄の乗り換え駅になっていた。小郡、は新山口の旧駅名だが、ここに同名の駅があったのだ。
それはともかく、ここから西鉄に乗れるのは便利だ。きょう1日の行程が決まり、とりあえずホッと一息である。
基山からタイム29分で、終点甘木に着いた。以前はここから秋月城行きのバスに乗ったのだが、今回はその余裕がない。
事務所に行き、鉄印を所望する。と、紙片が300円で売られていた。ご朱印はそこの関係者が直に書いてくれるが、鉄印は書に自信がある職員が少ないのか、このパターンが多いようだ。
それにしても、この鉄印はよい企画だと思う。記念スタンプはJRなど各所にあるが、この鉄印は、無料どころかおカネを取るところが斬新だ。これをスタンプ帳だけが有料だったら、ここまでヒットしなかった気がする。


16時48分の上りに乗る。鳥栖でのチョンボがなければ16時31分のに乗れたが、しょうがない。
小郡着17時06分。ここから西鉄への取り換えはすぐである。この雰囲気が、高田馬場の西武線入口に似ていた。いずれにしても、福岡県のそれとは思えなかった。

小郡からは17時15分の急行に乗れた。西鉄福岡17時57分着。ここからの観光ルートは決まっている。
(つづく)
「福岡までの高速道路が、雪で一部通れないのです」
女性係員が散文的に言う。
まさか福岡の雪に影響されるとは思わなかった。不通は何時間かあとに解消されるだろうが、それまで待っているわけにはいかない。よって、時間とカネはかかるが、JRを利用することにした。まあこちらのほうが、基山でスムーズに乗り換えできる利点はある。
とりあえず基山までの切符を買う。駅内に入ると、新幹線乗り場に「かもめ」が入線していた。私には縁のない乗り物で、遠くから眺めるだけである。

11時02分、区間快速のシーサイドライナーに乗った。きのう乗った道を引き返すのは味がわるいが、きょうは昼だからよい。
私は諫早で途中下車する。基山までは営業キロが100キロを越えているから、それが可能なのだ。
諫早駅は数年前から再開発に入っていたが、今回新幹線の途中駅となり、立派に稼働していた。島原鉄道ももちろん営業していたが、きょう乗るわけにはいかない。
駅前の歩道橋を歩くと、大きなスーパーマーケットがあったところは、巨大駐車場になっていた。また私の思い出の地が消えたが、これは仕方ない。
さらに少し行ったところの諫早バスターミナルは、ひっそりとしていた。私はそれを横目に、例の町中華に向かう。きのうは行けないと思っていたところだ。

町中華「なるほど」は営業していた。ここ数年、私の贔屓の店がことごとく廃業しているのでここもどうかと思ったが、まずはほっとする。
お昼時でもあり、中はそこそこ客がいた。隅のカウンターに座り、ちゃんぽんをオーダーする。750円で何年か前より50円値上げしたが、しょうがない。
目の前には無料のみかんが置いてある。まあ、今回はいただかなくていいだろう。
人が少なくなり、テーブルを案内された。出てきたちゃんぽんは美味かった。ただ、餃子の王将のそれも美味かった。むしろそちらのほうがより口に合う気がするが、それほどチェーン店も、味の研究をしているということだ。
大いに満足しなるほどを出て駅近くに戻ると、先のバスターミナルは結局のところ、引越しをして営業を終えていた。
新駅舎のすぐそばに、新バスターミナルが移動していた。付属の建物にはいくつもテナントが入り、ここだけは諫早の発展を思わせる。
階段脇にはピアノが置いてあり誰でも弾けるようだが、いまは誰もいない。
引きつづき長崎本線に乗る。この気動車のデザインはお絵描き風で、面白い。JR九州はJR6社の中で、最も車両デザインに力を入れていると思う。


車内はけっこう乗客がいたが、湯江で余裕ができ、座ることができた。
思ったのだが、基山までではなく、博多まで買っちゃうべきだったか。どこかで西鉄に乗れたらそのほうが安いと思ったのだが、それがどこから出ているか分からない。感覚的なものではなく、もっとしっかり調べるべきだった。
13時52分、肥前浜で乗り換え。次の鳥栖行きは14分遅れてきたが、このくらいの遅れはなんでもない。それよりも、久し振りの鉄分補給で、私は満足である。
鳥栖に着いたのは15時17分。定刻を3分遅れまで縮めてきた。
ここから鹿児島本線に入るが、反対側のホームに福間行きの列車が入線している。スマホの調べでは15時33分のはずだが、これは何か。
反対側に行く列車だとアレなので見送ったが、列車はもちろん、博多方面に行った。
しまった……。福間は博多の先じゃないか。調べるとこれは15時15分発で、遅れた我が列車を待っていてくれたのだ。まったく、のんびり列車旅なぞ楽しんでいるから、急な選択を迫られたときに正解を逸する。
気を取り直し、15時33分から2分遅れの区間快速に乗る。基山には1分遅れの15時42分に着いた。
さて、ここから待望の基山鉄道である。かつての4番線に発着しており、パッと見はJRと変わらない。
4番ホームに降りると、古風すぎる便所があった。JRだったら撤去されていたかもしれないが、基山鉄道用に残ったのかもしれない。

基山発15時59分の列車に乗る。そこそこの乗客があった。私は車内に掲げられている路線図を見る。すると、基山から2つ目の小郡が、西鉄の乗り換え駅になっていた。小郡、は新山口の旧駅名だが、ここに同名の駅があったのだ。
それはともかく、ここから西鉄に乗れるのは便利だ。きょう1日の行程が決まり、とりあえずホッと一息である。
基山からタイム29分で、終点甘木に着いた。以前はここから秋月城行きのバスに乗ったのだが、今回はその余裕がない。
事務所に行き、鉄印を所望する。と、紙片が300円で売られていた。ご朱印はそこの関係者が直に書いてくれるが、鉄印は書に自信がある職員が少ないのか、このパターンが多いようだ。
それにしても、この鉄印はよい企画だと思う。記念スタンプはJRなど各所にあるが、この鉄印は、無料どころかおカネを取るところが斬新だ。これをスタンプ帳だけが有料だったら、ここまでヒットしなかった気がする。


16時48分の上りに乗る。鳥栖でのチョンボがなければ16時31分のに乗れたが、しょうがない。
小郡着17時06分。ここから西鉄への取り換えはすぐである。この雰囲気が、高田馬場の西武線入口に似ていた。いずれにしても、福岡県のそれとは思えなかった。

小郡からは17時15分の急行に乗れた。西鉄福岡17時57分着。ここからの観光ルートは決まっている。
(つづく)