また「悲劇」が起こってしまった。12日のプロ野球・巨人×阪神戦(東京ドーム)で、阪神の村上頌樹投手が7回まで巨人打線を「完全」に抑えていながら、8回表1アウトランナーなしで打者村上のとき、岡田彰布監督は村上に代打を出してしまった。
結局この回阪神は0点。その裏巨人が同点に追いついたが、結局は阪神が勝った。
しかし村上には完全試合の記録どころか、勝利もつかなかった。
私は本当に情けなくなった。
ここで、ちょうど1年前に書いた「降板させた意味が分からない」を再掲する。
「
10日のプロ野球で、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が完全試合をやったのにはビックリした。1994年の槇原寛己(巨人)以来、通算16人目の快挙だった。
この日は6回終了時点でオリックスバファローズから13者連続三振を取っており、この調子なら完全試合も夢ではない、と思ったら本当に達成してしまったというわけだ。
そして17日である。10日以来の登板となった佐々木投手は、この日も北海道日本ハムファイターズ相手に8回までパーフェクト。いや素晴らしい。
ところがこの日はロッテも点を取っておらず、ロッテの井口資仁監督は、9回に佐々木投手を降板させてしまった。
試合は0-0のまま延長戦に入ったが、この進行なら流れは日本ハムである。日本ハムは佐々木投手が降板してくれて、心底ホッとしたことだろう。延長10回に決勝の1点を取り、そのまま日本ハムが勝った。
私は唖然呆然とした。今回の降板について、井口監督はいろいろ理由を述べたが、私には到底理解できなかった。
投手というものは、先発したら完全試合を狙うし、四球を出したらノーヒットノーランを狙う。ヒットを打たれたら完封を狙うし、点を取られたら完投を目論む(この部分は怪しい)。
そのパーフェクトゲームを続けていて代えられたら、投手なんてやってられない。
今回と同様のケースで、2007年の日本シリーズが思い出される。中日の山井大介投手が8回まで日本ハム打線をパーフェクトに抑えていながら、9回に交替させられたのだ。
当時の落合博満監督はこの件について多くを語らなかったが、私はいまでもこの采配に納得していない。
話を戻し、今回の降板について球団は、佐々木投手も納得づくだったというが、佐々木投手だって「投げたかった」なんて言ったら首脳陣批判になるから、当たり障りのないことしか言わない。どう考えたって投げたかったに決まってるだろう。
もし2試合連続完全試合となったら、空前絶後の奇跡的大記録、国民栄誉賞にも匹敵する大偉業だった。それがみすみす水の泡になったのが残念すぎる。
そして意外だったのは、野球評論家やファンのほとんどが、この降板を支持していたことだ。
しかし9回の1イニングを投げたところで、佐々木投手が肩を壊すこともないだろう。それならファンの期待通り、続投させるのが本当ではないのか。それが商業野球ではないのか。
野球関係者の中には、選手の記録のためにやっているわけではない、という人もいるだろう。
しかし、むかしは個人の記録を達成させるために、見苦しい措置があった。
1982年には、長崎慶一選手(大洋)に首位打者を獲らせるため、田尾安志選手(中日)を5打席連続敬遠させた。この試合は、大洋が勝てばすでに全試合を終えている巨人が優勝となったが、大洋が大敗したため、中日が優勝した。八百長とは言わないが、明らかな無気力試合である。プロ野球界には、米長哲学のカケラもないのである。
また連続試合出場の記録を更新し続けていた衣笠祥雄選手(広島)は、1986年や1987年は明らかに力が落ちていた。なのに古葉竹識監督は、最後まで衣笠選手を使い続けた。
そのほかにも、首位打者が確定した選手をその後使わなくなったケースもある。凡打して打率が下がるのを避けたのである。
これらに比べたら、佐々木投手をあと1回投げさせることに、躊躇することは一切ないと思う。
現代のプロ野球は投手が分業制になり、完投投手は珍しくなってしまった。今後、完全試合もノーヒットノーランも、リレーでの達成が多くなってくるのだろう。
こんな夢のないプロ野球に、魅力は感じない。
」
私の考えは1年前とまったく変わっていない。つまり、今回の交代には納得がいっていない。
佐々木投手のときは0-0だったが、今回は1-0で阪神が勝っていた。佐々木投手のときよりさらに条件はよく、これでどうして交代なのか、理解に苦しむ。
報道を読むと、村上の投球はだんだんボールが高くなってきていたそうで、いつ打たれてもおかしくなかったそうである。
しかし、誰が投げても打たれる可能性があるのは一緒である。また、いい当たりが野手の正面にいったり、ボテボテの当たりがヒットになったりと、調子と結果が比例しないのが野球の面白さである。
そんなに村上の調子が落ちていたなら、1本ヒットを打たれてからでもよかった。
ホームランを打たれたらアレだが、それでも7回以上を投げて1失点は、投手の責任ではない。
何度でも書くが、プロ野球での完全試合は、人生に一度あるかどうかのチャンスだ。
野球ファンだったら一度は見たい、歴史的快挙なのだ。それをみすみす潰すとは……。岡田、アホなのか?
まさかとは思うが、「勝利のためには完全試合中の投手もスパッと代える非情の采配。しかしそれが名監督の証でもある」とでも言われたいがために、あえて代えてしまったのではないか? まったく、呆れて話にならない。
昨年、あれほど勝利に拘ったロッテは、5位に甘んじた。
今年の阪神も、下位に落ちればいい。とにかく、岡田監督には失望した。
結局この回阪神は0点。その裏巨人が同点に追いついたが、結局は阪神が勝った。
しかし村上には完全試合の記録どころか、勝利もつかなかった。
私は本当に情けなくなった。
ここで、ちょうど1年前に書いた「降板させた意味が分からない」を再掲する。
「
10日のプロ野球で、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が完全試合をやったのにはビックリした。1994年の槇原寛己(巨人)以来、通算16人目の快挙だった。
この日は6回終了時点でオリックスバファローズから13者連続三振を取っており、この調子なら完全試合も夢ではない、と思ったら本当に達成してしまったというわけだ。
そして17日である。10日以来の登板となった佐々木投手は、この日も北海道日本ハムファイターズ相手に8回までパーフェクト。いや素晴らしい。
ところがこの日はロッテも点を取っておらず、ロッテの井口資仁監督は、9回に佐々木投手を降板させてしまった。
試合は0-0のまま延長戦に入ったが、この進行なら流れは日本ハムである。日本ハムは佐々木投手が降板してくれて、心底ホッとしたことだろう。延長10回に決勝の1点を取り、そのまま日本ハムが勝った。
私は唖然呆然とした。今回の降板について、井口監督はいろいろ理由を述べたが、私には到底理解できなかった。
投手というものは、先発したら完全試合を狙うし、四球を出したらノーヒットノーランを狙う。ヒットを打たれたら完封を狙うし、点を取られたら完投を目論む(この部分は怪しい)。
そのパーフェクトゲームを続けていて代えられたら、投手なんてやってられない。
今回と同様のケースで、2007年の日本シリーズが思い出される。中日の山井大介投手が8回まで日本ハム打線をパーフェクトに抑えていながら、9回に交替させられたのだ。
当時の落合博満監督はこの件について多くを語らなかったが、私はいまでもこの采配に納得していない。
話を戻し、今回の降板について球団は、佐々木投手も納得づくだったというが、佐々木投手だって「投げたかった」なんて言ったら首脳陣批判になるから、当たり障りのないことしか言わない。どう考えたって投げたかったに決まってるだろう。
もし2試合連続完全試合となったら、空前絶後の奇跡的大記録、国民栄誉賞にも匹敵する大偉業だった。それがみすみす水の泡になったのが残念すぎる。
そして意外だったのは、野球評論家やファンのほとんどが、この降板を支持していたことだ。
しかし9回の1イニングを投げたところで、佐々木投手が肩を壊すこともないだろう。それならファンの期待通り、続投させるのが本当ではないのか。それが商業野球ではないのか。
野球関係者の中には、選手の記録のためにやっているわけではない、という人もいるだろう。
しかし、むかしは個人の記録を達成させるために、見苦しい措置があった。
1982年には、長崎慶一選手(大洋)に首位打者を獲らせるため、田尾安志選手(中日)を5打席連続敬遠させた。この試合は、大洋が勝てばすでに全試合を終えている巨人が優勝となったが、大洋が大敗したため、中日が優勝した。八百長とは言わないが、明らかな無気力試合である。プロ野球界には、米長哲学のカケラもないのである。
また連続試合出場の記録を更新し続けていた衣笠祥雄選手(広島)は、1986年や1987年は明らかに力が落ちていた。なのに古葉竹識監督は、最後まで衣笠選手を使い続けた。
そのほかにも、首位打者が確定した選手をその後使わなくなったケースもある。凡打して打率が下がるのを避けたのである。
これらに比べたら、佐々木投手をあと1回投げさせることに、躊躇することは一切ないと思う。
現代のプロ野球は投手が分業制になり、完投投手は珍しくなってしまった。今後、完全試合もノーヒットノーランも、リレーでの達成が多くなってくるのだろう。
こんな夢のないプロ野球に、魅力は感じない。
」
私の考えは1年前とまったく変わっていない。つまり、今回の交代には納得がいっていない。
佐々木投手のときは0-0だったが、今回は1-0で阪神が勝っていた。佐々木投手のときよりさらに条件はよく、これでどうして交代なのか、理解に苦しむ。
報道を読むと、村上の投球はだんだんボールが高くなってきていたそうで、いつ打たれてもおかしくなかったそうである。
しかし、誰が投げても打たれる可能性があるのは一緒である。また、いい当たりが野手の正面にいったり、ボテボテの当たりがヒットになったりと、調子と結果が比例しないのが野球の面白さである。
そんなに村上の調子が落ちていたなら、1本ヒットを打たれてからでもよかった。
ホームランを打たれたらアレだが、それでも7回以上を投げて1失点は、投手の責任ではない。
何度でも書くが、プロ野球での完全試合は、人生に一度あるかどうかのチャンスだ。
野球ファンだったら一度は見たい、歴史的快挙なのだ。それをみすみす潰すとは……。岡田、アホなのか?
まさかとは思うが、「勝利のためには完全試合中の投手もスパッと代える非情の采配。しかしそれが名監督の証でもある」とでも言われたいがために、あえて代えてしまったのではないか? まったく、呆れて話にならない。
昨年、あれほど勝利に拘ったロッテは、5位に甘んじた。
今年の阪神も、下位に落ちればいい。とにかく、岡田監督には失望した。