第73期ALSOK杯王将戦第4局(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、日本将棋連盟)の2日目である。菅井竜也八段の封じ手は、飛車交換に応じる手だった。そしてこれが、正着だったようである。私は、菅井八段が考えすぎて、ヘンな手を指すかと思った。
もっともそれで均衡が保たれているわけではなく、やはり藤井王将が指しやすいようだ。お互い馬を作り、自陣に隙もないのに、なぜか藤井王将のほうがよく見える。やはり1歩得が大きいのだろうか。
菅井八段、2筋の馬をひとつ寄って銀取り。そこで藤井王将が端に飛車を打ったのが妙手だった。
菅井八段は飛車を合わせるしかないが、結果、馬がもとの位置に戻り、丸々1手損になってしまった。中盤の難所で、これは痛すぎる。
そこから数手進み、藤井王将は竜を作り、またもや自陣に引く。あまりにも強固で、あとは自然に指せば勝てる、という雰囲気である。
そして藤井王将は金銀交換のわずかな利に成功。さらに香得を果たした。
その後、馬取りに金を打ったのが手厚かった。このあたり、大山康晴十五世名人の指し手を見ているようだった。
続けて藤井王将は金取りに香を打つ。果たして金香交換の駒得となり、これで大勢決した。なんで藤井王将の手にかかると、すべての駒が最大限の働きをするのだろう。
藤井王将、竜を入って王手。これに菅井八段が3分考え、投了した。藤井王将も黙って礼を返す。虚を衝かれたふうでなかったから、藤井王将も勝ちを読み切っていたのだろう。
しかし投了図、社団戦だったら王手を受けて、実は後手が勝つチャンスはまだまだある。少なくとも私が先手を持って、勝ち切る自信はない。だけど菅井八段もすべてを読み切っていたし、抵抗の焔も残っていなかった。
かくして藤井王将は、先の竜王戦に続き、またもストレート防衛。内容的にも圧倒し、4局とも、1手違いにもさせなかった。闘将・菅井八段の胸中、いかばかりか。
藤井王将はこれで最近の成績が、12連勝のあと銀河戦決勝で丸山忠久九段に負け、そこから再び10連勝である。つまりここ23局で、22勝1敗ということだ。もう、すべての棋士に手合い違いという感じで、手が付けられない。
そして藤井王将は、タイトル戦20連覇となった。大山十五世名人の記録が抜かれたわけだが、藤井王将の場合、タイトル戦負けなしの20連覇というのがすごい。
そして、通算タイトルも20期ということで、米長邦雄永世棋聖の19期を抜き、単独6位となった。
米長先生、米長先生が一生をかけて積み上げたタイトル獲得数が、21歳の青年にあっさり抜かれましたよ。
そして来年のいまごろはタイトルが28期になり、谷川浩司十七世名人の27期を抜く。
そして来年の夏に棋聖を防衛すると32期になり、渡辺明九段の31期を抜く。
これは絵空事ではない。対抗の棋士がまったくいない今、極めて現実的な予想である。
もっともそれで均衡が保たれているわけではなく、やはり藤井王将が指しやすいようだ。お互い馬を作り、自陣に隙もないのに、なぜか藤井王将のほうがよく見える。やはり1歩得が大きいのだろうか。
菅井八段、2筋の馬をひとつ寄って銀取り。そこで藤井王将が端に飛車を打ったのが妙手だった。
菅井八段は飛車を合わせるしかないが、結果、馬がもとの位置に戻り、丸々1手損になってしまった。中盤の難所で、これは痛すぎる。
そこから数手進み、藤井王将は竜を作り、またもや自陣に引く。あまりにも強固で、あとは自然に指せば勝てる、という雰囲気である。
そして藤井王将は金銀交換のわずかな利に成功。さらに香得を果たした。
その後、馬取りに金を打ったのが手厚かった。このあたり、大山康晴十五世名人の指し手を見ているようだった。
続けて藤井王将は金取りに香を打つ。果たして金香交換の駒得となり、これで大勢決した。なんで藤井王将の手にかかると、すべての駒が最大限の働きをするのだろう。
藤井王将、竜を入って王手。これに菅井八段が3分考え、投了した。藤井王将も黙って礼を返す。虚を衝かれたふうでなかったから、藤井王将も勝ちを読み切っていたのだろう。
しかし投了図、社団戦だったら王手を受けて、実は後手が勝つチャンスはまだまだある。少なくとも私が先手を持って、勝ち切る自信はない。だけど菅井八段もすべてを読み切っていたし、抵抗の焔も残っていなかった。
かくして藤井王将は、先の竜王戦に続き、またもストレート防衛。内容的にも圧倒し、4局とも、1手違いにもさせなかった。闘将・菅井八段の胸中、いかばかりか。
藤井王将はこれで最近の成績が、12連勝のあと銀河戦決勝で丸山忠久九段に負け、そこから再び10連勝である。つまりここ23局で、22勝1敗ということだ。もう、すべての棋士に手合い違いという感じで、手が付けられない。
そして藤井王将は、タイトル戦20連覇となった。大山十五世名人の記録が抜かれたわけだが、藤井王将の場合、タイトル戦負けなしの20連覇というのがすごい。
そして、通算タイトルも20期ということで、米長邦雄永世棋聖の19期を抜き、単独6位となった。
米長先生、米長先生が一生をかけて積み上げたタイトル獲得数が、21歳の青年にあっさり抜かれましたよ。
そして来年のいまごろはタイトルが28期になり、谷川浩司十七世名人の27期を抜く。
そして来年の夏に棋聖を防衛すると32期になり、渡辺明九段の31期を抜く。
これは絵空事ではない。対抗の棋士がまったくいない今、極めて現実的な予想である。