一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第49期棋王戦第2局

2024-02-25 23:28:35 | 男性棋戦
24日、第49期棋王戦コナミグループ杯第2局が行われた(主催:共同通信社、河北新報、下野新聞、千葉日報、山梨日日新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、北日本新聞、北國新聞、京都新聞、山陽新聞、中国新聞、日本海新聞、山陰中央新報、愛媛新聞、高知新聞、長崎新聞、佐賀新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムス、日本将棋連盟)。第1局が4日だったから、相当に久しぶりだ。
第2局の開催は石川県金沢市。金沢は兼六園、ひがし茶屋街、金沢城石川門、近江町市場、21世紀美術館などいろいろ見所が多いが、北陸鉄道を利用したローカル駅巡りの旅もよい。
本局の先手は伊藤匠七段。前局は持将棋だったので実質第1局だ。伊藤七段は苦労して先手番を手に入れたが、本局に勝たねば意味がない。
将棋は角換わり相腰掛け銀となった。藤井聡太棋王はおとなしく追随したが、途中右金を斜めに上がったのがちょっとした工夫だ。
と、伊藤七段はいきなり仕掛ける。藤井棋王は素直に応じるよりなく、以下、伊藤七段の攻め、藤井棋王の受けとなる。しかし藤井棋王が一方的に銀、角を受けに手放す展開になり、アマ同士の対局なら、相当に先手が勝ちそうだ。
伊藤七段は銀を犠牲に飛車を入手し、敵陣に打ち込む。これも、アマ同士なら銀損などものの数ではなく、やはり先手が勝つ。
藤井棋王は角を2枚手放し、竜になったそれの働きを抑えにかかる。しかしその間、金桂交換の駒損にもなり、やはり後手がつらそうに見える。とはいえ、さっきまで裸同然だった藤井玉の周りには角角銀がくっつき、固いことは固い。この囲い再生術も、いままで何度か見てきたものだ。
果たして、いままでさんざん受け一方だった藤井棋王が飛車を入手し、角をひょいと覗いてみると、後手の景色がよくなっているのに驚いた。
この辺りが藤井棋王のすごいところで、藤井棋王はひと働きした駒に活を入れ、新たな活躍場所を与えることがある。前期王座戦・村田顕弘六段戦の「△6四銀」などがそうである。
伊藤七段はこの角を除去しようと試みたが、藤井棋王はそれに目もくれず、教科書に出てくるような寄せの手筋を連発。たちまち伊藤玉を受けなし+投了に追い込んだ。
いやはや、藤井棋王の指し手は魔法のようで、これで勝っちゃうのかと思う。
大山康晴十五世名人の円熟期は。相手の攻めをさんざん受けた後、ひょいと1手攻めの手を指して勝ち、という展開がいくつもあった。本局はそれを彷彿とさせる勝ち方で、私はその強さにため息をつくばかりだった。
いっぽうの伊藤七段は、痛い敗戦。局後は「午前中に攻め過ぎた。形勢を悲観していた」とコメントを述べた。これで対藤井戦は0勝8敗1持将棋で、この戦績では形勢を悲観するのも無理はない。
かくしてこれでまた、藤井棋王の防衛が濃厚となった。伊藤七段はもうタイトル奪取を考えず、対藤井戦の初勝利を目標にしよう。
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