一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

カノタマに教えていただく(前編)

2025-02-23 23:37:00 | LPSA麹町サロンin DIS
20日は一日ヒマだったのだが、LPSAのサイトを見たら、当日の麹町サロンで鹿野圭生女流三段に空きがあった。おカネが無尽蔵にあれば申し込むのだが、私にそんな余裕はない。さんざん迷ったすえ、結局申し込んだ。
当日は御徒町の多慶屋でドライブルーベリーを買い、神田の金券ショップに寄った。ANAの株主優待券を売りたかったからだが、5月末まで有効のそれが1枚200円とのことで、とても売る気になれなかった。世の中にモノの暴落は山ほどあるが、これほど価値が下がった商品はないと思う。
有楽町に寄り、OKスーパーで虫歯の元の飴類を爆買いする。これだから私太るのだ。
午後6時15分ごろに麹町に着き、教室に入る。鹿野女流三段はいたがほかに客はおらず、私が一番乗りだ。
すぐあとに常連のK氏が来た。とりあえずこの2名で指導対局である。
あらためて名を名乗ると、
「大沢さん!?」
と驚かれた。「マスクをしていたから分からなかった」
これは鹿野女流三段の思いやりで、私があまりにも禿げたので、分からなかったのだ。というかそもそも、鹿野女流三段が私を認識していたことに驚いた。
いずれにしてもこうやって、私の老いた姿をLPSAの女流棋士に、徐々に知らしめていくしかない。
まだ18時30分になっていないが、対局開始となった。

初手からの指し手。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲5六歩△9四歩▲5八金右(第1図)

「最近どうですか」と鹿野女流三段。
「全然将棋を指してないんですよ。駒を触るのも今年初めて。将棋アプリでも指してないので、きょうが正真正銘の指し初めです」
それは本当だが、まさか今年の指し初めの相手が鹿野女流三段になるとは思わなかった。
その鹿野女流三段にはだいぶむかし、何かのイベントのときに一局教わったことがある。そのときはもちろん私が負けたのだが、感想戦では鹿野女流三段が多彩な変化手順を教えてくれ、とてもためになったのを憶えている。
将棋は私の居飛車明示に、鹿野女流三段は藤井システムの出だし。
これにはそちらぬ顔で▲5八金右とするのが一公流。対してふつうは△9五歩だが……。

第1図以下の指し手。△4三銀▲9六歩△4二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△7二銀▲6八銀△7一玉▲2五歩△3三角▲3六歩△8二玉(第2図)

K氏のところは、鹿野女流三段の角落ち。鹿野女流三段は振り飛車党ではあるが、居飛車を採用していた。
鹿野女流三段は味をもたせて△4三銀。それならと▲9六歩と受けるのが一公流Ⅱ。鹿野女流三段が少しのけぞったが、(それなら△9五歩と突き越しておくのだった)というところだろう。私は、こうやって軽く後悔させるのが狙いだった。
もっともふつうの形に戻っただけで、以下は定跡通りに進む。私の▲6八銀は形を決め過ぎたキライもあるが、いずれ指す手なので、まあよい。

第2図以下の指し手。▲5七銀左△5二金左▲1六歩△1四歩▲6八金直△5四歩▲3七銀△1二香▲2六銀△3二飛▲4六歩(第3図)

きょう来る予定のもうひとりは、所用で来られなくなりそう、との連絡が入った。実は私も前日キャンセルをしたことが何度もあり、そのたびにキャンセル料を払ったものだ。
だから確実なのは当日申し込みなのだが、それだと定員からもれてしまう。むずかしいところである。
私は▲5七銀左とした。昭和の急戦である。ここは▲5七銀右から中央位取りもあるが、本局は急戦に賭けた。
端歩を突き合い、そこで当初は▲4六銀の予定だったが、これは鹿野女流三段の望むところだと思った。
そこで▲6八金直と一手ためる。そして△5四歩に▲3七銀と、棒銀に出た。
△3二飛には▲4六歩。たしか中井広恵女流六段の棒銀講座に、この手が記してあった。でも、なぜこの手がいいのか、意味も分からずに指していた。

第3図以下の指し手。△5一角▲4五歩△同歩▲1一角成△3三角▲2一馬△9九角成▲6六銀△4二飛▲7七銀(第4図)

鹿野女流三段はコテコテの関西人で、対局の合間に、ぼそっと関西弁が出てくる。それがナチュラルな響きで、本当の関西弁はこういうのを云うんじゃないか、と妙に感心してしまう。
鹿野女流三段は△5一角と引いた。むかしLPSA金曜サロンの常連だった青木さんが得意にしていた手で、個人的には賛同できないが、鹿野女流三段が指したのだから、正着なのだろう。
私は薄い4筋をめがけて▲4五歩としたが、鹿野女流三段に堂々と△同歩と取られ、アテが外れた。
いきおい角を成る手に△3三角。そこで▲同馬は面白くないので▲2一馬としたが、△9九角成がやはり厳しい。あんな僻地の桂より、玉の付近の香を取られるほうが、はるかに罪が重かったのだ。
私は▲6六銀とし次の▲4四桂を狙う。よって鹿野女流三段は△4二飛。そこで私は▲7七銀と指した。▲3一馬と指したいのはヤマヤマだが、△8四香や△8八香と指されると受けがなく、この一回休みはやむを得なかった。
この局面で鹿野女流三段はなかなか指さない。私が▲7七銀と指したのは目に入っていたと思うが、どうなのか。どうも私の指し手を待っているふうだが、「指しましたよ」とも言えない。
そんな思いで局面を眺めていたが、さっきからイヤな手がチラついていた。

(つづく)
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