おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
年末・年始だからでしょう。ふだんあまり読まない小説を読みました。
直木賞作家の角田光代の『森に眠る魚』という、1999年に起きた「音羽お受験殺人事件」を彷彿させる小説でした。
3度ほど途中で読むのをやめようとしました。主人公が誰だかわからないし、小学校お受験を題材とする、同じ幼稚園に子どもを通わせる、あるいは同じマンションに住む母親たちが何人も登場して、「あれ、この人誰だっけ?」と、何度も最初の部分を読み直さなければならなかったほどです。
しかし、途中からは、まるで弦楽五重奏曲を聴くように、時には推理小説を読むような感じで、ぐいぐい引き込まれ、著者の力量に脱帽することになった小説です。
ごく普通にいるような主婦がお受験がらみで対人関係が複雑になり、依存症気味になる人、摂食障害になる人、虐待紙一重になる人などさまざまで、最後は、著者の心理描写の見事さに魅せられ、とうとう途中でやめられなくなってしまいました。
なんだか角田光代の他の本、他の作家の小説に走りそうな自分が怖い。
<お目休めコーナー>我が家の正月の花瓶から②
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