おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
旅先で森浩美の『家族の言い訳』(双葉文庫)を読みました。
放送作家から作詞家になって有名だと言われる森浩美のことは、まったく知りませんでした。
先に読んだカミさんの「浅田次郎と同じような泣かせ上手な作家」の評につられて旅先に持っていき、主に電車の中で読みました。
タクシー運転手とのやり取りが中心になる「星空への道」の部分は、甲賀に至るJR草津線の中で読みました。目の前で女子高生が会話していましたが、嗚咽するような涙が出て、ハンカチを手にしました。
京都から東京に向かう新幹線の中で読んだ「イブのクレヨン」は、感動してため息をつきました。次の短編に移るのにためらいが出ました。
8つの短編は、見方によれば不幸な物語です。ただ、その多くにささやかな希望を見出せ、家族の絆を感じさせるのです。
それぞれが「この主人公、その後どうなってしまうのだろう?」という余韻を残す物語です。
「稀代の名作詞家が書き綴る傑作短編集」の帯には、偽りがありません。
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