おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(4月26日)は、金沢市で石川県庁の職員研修を行っていました。
2014年度から4年目、今回で10回目になります。
新入社員研修を行わない私は、4月こそゆとりがありましたが、5月からは俄然忙しくなります。
さて、昨日のブログで
◎『働く人のためのアドラー心理学―「もう疲れたよ・・・」にきく8つの習慣 』 のご感想を5月6日発売のタイミングに合わせてファイスブックやブログで書いてくださる方がいらっしゃれば、ヒューマン・ギルドのプレミアム会員限定で先着5人に見本版を贈呈します。
info@hgld.co.jp にメールをください。
と書いたのですが、(1)この本が『「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣 働く人のためのアドラー心理学』の文庫化であり、前作を読んでいる人がかなりいること、(2)冊数が5冊と少量であるため遠慮した人が多くいること、の2点のため、意外にお応募者数が少なかったです。
先着5人より多くしますので、ご希望の方は遠慮なくご応募ください。
さて、 アドラー心理学ベーシック・コース の「よい人間関係」のところで「寛容」を条件に入れています。
この寛容についてどう考えたらいいか、今回のテーマにします。
「寛容」を『広辞苑』で引いてみると、
(1)寛大で、よく人をゆるし受け入れること。咎めだてしないこと
とありますが、
(3)異端的な少数意見発表の自由を認め、そうした意見の人を差別待遇しないこと
というのもあります。
(3)の意味合いをヴォルテール(フランスの哲学者、1694 – 1778)は、次の言葉で表しています。
「君の意見には賛成しないが、君のそう発言する権利は死んでも擁護しよう」
私たちは、意見が対立すると、独善的な態度になり、反対意見には耳を傾けないどころか、その発言を封じてしまいたくなります。
しかし、ヴォルテールは、賛成しない意見に対しても、その発言権を命をかけても擁護しようとしたのです。
日本でも、同じ態度を取った戦前の社会思想家、経済学者がいます。
私も大学時代にお世話になった『学生に与う』の著者、河合栄治郎(1891 - 1944)です。
イギリスで自由主義思想を学んできた河合は、大正の末期から昭和の初期、東京帝国大学でマルクス主義が台頭してくる中で、マルクス主義者との対決姿勢を強め、学園内で自由主義の使命を強調しながらも、大学は「自由な言論と思想の場であるべきだ」との信念を持ち続けていました。
昭和3年3月、日本共産党、労働農民党、日本労働組合評議会など計1,600人以上が一斉に検挙された、世に言う「3・15事件」に連動して文部省は大学の左傾教授を処分する決定を下したことに対して、河合は、大学の自由を守るためにマルクス主義者を体を張って擁護しました。
ファシズムがますます強まってくると、河合はファシズム批判の論陣を張り、そのために、右派陣営からの攻勢は強まり、河合自身が東京帝国大学から追放されることになりました。
こういう歴史を振り返ると、「寛容」の精神で生き抜くことは、「なあなあ」で済ませることではなく、まさに体を張った気迫を伴う態度であることが学べます。
<お目休めコーナー>4月の花(27)
(クリックして勇気づけを)