○寿福滋・写真、高梨純次・文『近江の祈りと美』 サンライズ出版 2010.10
というわけで、33年に1度の「秘仏本尊ご開帳」を拝観に行った正明寺で、本書を衝動買いしてしまった顛末は報告のとおり。本書は、近江の仏像、神像200余点のカラー写真集成である(石仏、狛犬等も少し含む)。各像、正面からの全体写真1点が原則で、資料性が高いが、ものによっては別アングルや頭部拡大図も付いている。ごくまれに、美術写真を意識して撮っているものもあり、その1例が冒頭の石山寺の如意輪観音。2009年、横浜そごうの『石山寺の美』で見た覚えのある写真だった。
厳密ではないが、年代順を意識した構成となっており、第1章「石山寺と奈良時代の仏像」では、同寺に伝わる金銅仏を多く紹介。第2章と第3章は「平安古像」、第7章「高僧を偲ぶ」あたりから鎌倉彫刻の比重が増す。ただし、最も著名な向源寺(渡岸寺)および石道寺の十一面観音は、終章で扱われている。先日、大津歴博で見たばかりの盛安寺の十一面観音や、町田の国際版画美術館にお出ましの福寿寺の千手観音も掲載されていた。櫟野寺の十一面観音坐像や比叡山・横川の聖観音は、すぐにそれと分かって、懐かしく眺めた。
この写真集のすごいところは、ふだん公開されていない秘仏の写真も特別に掲載許可をもらっていること。彦根に社を置く地方出版ならではの快挙というか、役得かも。正明寺もその1例だが、衝撃だったのは金剛輪寺の秘仏本尊・聖観音立像。頼むからこういう写真は、知る人ぞ知るにとどめて、ネットに流出しないでほしい…。西明寺の十二神将立像の写真(特に亥神)もいいが、これはどこかで見た記憶がある。あと石仏は、見に行きたいけど、周囲の風景を見ると、いかにもアクセスが悪そうだなあ。
巻末に「滋賀県文化財一覧・彫刻(国宝・重要文化財・滋賀県指定文化財)」という便利なリストが掲載されており、447件(工芸1件を含む)が挙げられているので、およそ半数が本書に掲載されていると分かる。また、高梨純次氏は「近江の彫像」という30ページほどの長大な概説を書かれているが、個別の像についての解説は、必ずしも十分でない。しかし、これだけ網羅的なカラー写真集を手元におけるだけでも、ありがたいと思う。
なお、Amazonではなぜか中古品(定価より高い!)しかヒットしないが、サンライズ出版のサイトでは、現在「在庫あり」で定価購入可能。
というわけで、33年に1度の「秘仏本尊ご開帳」を拝観に行った正明寺で、本書を衝動買いしてしまった顛末は報告のとおり。本書は、近江の仏像、神像200余点のカラー写真集成である(石仏、狛犬等も少し含む)。各像、正面からの全体写真1点が原則で、資料性が高いが、ものによっては別アングルや頭部拡大図も付いている。ごくまれに、美術写真を意識して撮っているものもあり、その1例が冒頭の石山寺の如意輪観音。2009年、横浜そごうの『石山寺の美』で見た覚えのある写真だった。
厳密ではないが、年代順を意識した構成となっており、第1章「石山寺と奈良時代の仏像」では、同寺に伝わる金銅仏を多く紹介。第2章と第3章は「平安古像」、第7章「高僧を偲ぶ」あたりから鎌倉彫刻の比重が増す。ただし、最も著名な向源寺(渡岸寺)および石道寺の十一面観音は、終章で扱われている。先日、大津歴博で見たばかりの盛安寺の十一面観音や、町田の国際版画美術館にお出ましの福寿寺の千手観音も掲載されていた。櫟野寺の十一面観音坐像や比叡山・横川の聖観音は、すぐにそれと分かって、懐かしく眺めた。
この写真集のすごいところは、ふだん公開されていない秘仏の写真も特別に掲載許可をもらっていること。彦根に社を置く地方出版ならではの快挙というか、役得かも。正明寺もその1例だが、衝撃だったのは金剛輪寺の秘仏本尊・聖観音立像。頼むからこういう写真は、知る人ぞ知るにとどめて、ネットに流出しないでほしい…。西明寺の十二神将立像の写真(特に亥神)もいいが、これはどこかで見た記憶がある。あと石仏は、見に行きたいけど、周囲の風景を見ると、いかにもアクセスが悪そうだなあ。
巻末に「滋賀県文化財一覧・彫刻(国宝・重要文化財・滋賀県指定文化財)」という便利なリストが掲載されており、447件(工芸1件を含む)が挙げられているので、およそ半数が本書に掲載されていると分かる。また、高梨純次氏は「近江の彫像」という30ページほどの長大な概説を書かれているが、個別の像についての解説は、必ずしも十分でない。しかし、これだけ網羅的なカラー写真集を手元におけるだけでも、ありがたいと思う。
なお、Amazonではなぜか中古品(定価より高い!)しかヒットしないが、サンライズ出版のサイトでは、現在「在庫あり」で定価購入可能。