付け焼き刃の覚え書き

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「駆逐艦キーリング」 セシル・スコット・フォレスター

2010-04-17 | 戦記・戦史・軍事
 第二次大戦の最中、北米から英国へ向かう輸送船団があった。たった37隻の船団だが、その存在意義は決して小さくない。1隻のタンカーが無事に港に到着さえすれば、すべての英軍艦艇が1時間余分に行動できるのだ。
 この輸送船団を護るのは、駆逐艦2隻、コルベット艦(対潜護衛艦)2隻の小さな艦隊だけであり、それを指揮するのは今回が初陣となる米海軍中佐、ジョージ・クラウスだった……。

 イギリスやポーランドなど国も異なる、しかも自分よりベテランの艦長を指揮するクラウス中佐の不眠不休の2日間の物語。小さな輸送船団の、小さな護衛艦隊を指揮する、たった1人の男の物語だけれど、彼が艦橋を離れることなく、眠らず、ほとんど座ることもなく、飲まず食わずトイレにも行かずの姿を丹念に描写するものですから、読む方もいつしかクラウス艦長と一体化してしまいます。それに気がつくのは周囲が気を利かせて、せめてコーヒーだけでも飲んでくれと食事を給仕に運ばせるシーンでしょうか。
 不眠不休の薄暗い艦橋に届けられるハムエッグにトーストとジェリー、そして熱々のコーヒー……。読んでいると真夜中でもお腹が減ってくるのは困りもの。潰れて手に付いた黄身が美味そうなんだ……。
 フォレスターといえば帆船海洋小説のホーンブロワーのシリーズが代表作だけれど、自分としては船団護衛における対潜戦闘がリアルに書かれているこちらの方が好きですね。

【駆逐艦キーリング】【セシル・スコット・フォレスター】【生頼範義】【群狼戦法】【アズディック】【レーダー】【ジクザク航路】
コメント
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