付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「火刑法廷」 ジョン・ディクスン・カー

2010-04-26 | ミステリー・推理小説
「理財家は金をためてから刑務所へ行きますが、作家は刑務所に入ってから収入をあげるわけですな」
 作家にして犯罪研究者であり元殺人犯のゴーダン・クロスの言葉。

 カーの代表作にしてミステリー黄金期の代表作なんだと、どこぞのミステリ・オールタイム100とかに入っていたので、一度読んでみるべかと思って母親の書棚をあさっていて発見。あいかわらず本を乱暴に扱っているなあ……。
 「本好き」の中には「本を思い切り開くのもはばかれる繊細な愛書家」と「丸めて読んだり風呂場で読むのも気にならない大雑把な読書家」の2種類いるような気がします。

 編集者エドワード・スティーヴンスは届けられた人気作家の新作原稿を読んで愕然とした。17世紀のフランスで暗躍した毒殺者だとする肖像が妻のマリーと瓜二つだったのだ……。

 仮面舞踏会と突然の死、墓所からの遺体消失、静かに広がる毒殺の噂、不可解な妻の失踪と原稿の消失。二転三転する話はどこへ辿り着くか分かりません。誰が犯人かどころか、誰が主人公で探偵役なのかも疑わしく思いながら読み進めてゴーダン・クロスの登場に唖然。怪奇としか思えない状況がミステリとして論理的に解決が示される結末に脱帽。

【火刑法廷】【ジョン・ディクスン・カー】【魔女狩り】【仮面舞踏会】【砒素】【遺体消失】【毒殺魔】【密室】【タイプライター】
コメント
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