付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ゲームデザイン脳~桝田省治の発想とワザ」 桝田省治

2010-04-24 | エッセー・人文・科学
「だって思春期の恋愛は人生で経験する快楽のベスト3に絶対入るわけだから、どれだけテレビゲームが面白かろうと現実の方が楽しいに決まってる……だろ?」
 高校生の長男が寝っ転がりながら黙々と読んでいたけれど、キミにはこの言葉をしっかりと噛みしめて欲しい。

 私は『鬼切り夜鳥子』とか『ハルカ』など作家としての桝田作品のファンなのだけれど、これを読むとまずデザイナーなのだということを感じます。
 作品を作るとき(特にライトノベルなんかの場合はそうなのかな?)、普通はキャラクターを考える、あるいはストーリーを考える、時には舞台を考えるというのが最初にきそうなものなんだけれど、ゲームデザイナーとしての桝田省治においてはまずシステムありきなんですね。
 こういうシステムのゲームが面白そうだ、ならばこのシステムを活かすためにはどういう設定のストーリーが必要で……という順番で来るのですね。それだからこそ、『俺の屍を越えてゆけ』のような珍しくも面白いシステムのゲームが産まれてくるのだと納得しました。
 この本は、そういうゲームデザイン発想法を支離滅裂な美人編集者との対話をベースに「毒舌全開、桝田節炸裂」で語っていくというもので、『桃太郎電鉄』から現在まで関わってきた作品でのエピソードが紹介されています。
 そして、やはり良い味を出しているのが、原稿に注文をつけまくりながら迷走している美人編集者。「面白い嘘ならどんどんつけ」と書いてある本なので、どこまで信用して良いかわからないけれど、この作者と編集者のかけあいで進むところが、このノウハウ本だか回想録だかわからない本をテンポよく読ませる原動力になっています。
 でも、袋とじ、欲しかったなあ……。

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