付け焼き刃の覚え書き

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「雲上都市の大冒険」 山口芳宏

2011-03-18 | ミステリー・推理小説
 被災地にいない人間は、いつも以上に働き、十分に休み、しっかり消費して日本経済を支えないといけないなと思います。けれど、この期に及んで水や米を買いだめに走る姿には辟易とします。仕送り目的だって結果は同じ。オイルショックから何も学んでないな……。

「真に品格のある人間は、金ではなく興味にこそ情熱を注ぐのです」
 真野原玄志郎の言葉。

 昭和27年、“雲上の楽園”と称される四場浦鉱山に呼び出された若手弁護士の殿島直紀は、探偵の助手になるよう命じられる。鉱山会社社長が、20年間地下牢に監禁されていた男によって殺されたというのだ。
 やってきた探偵は、荒城こと学ラン姿に不可思議な義手を持つ真野原玄志郎。そして白のスーツを身にまとった眉目秀麗な“本物”の荒城咲之助だった……。

 最近は本を読む気力もなく、既に何度も読んでいる、結末のわかっている本をぱらぱらめくる程度。新刊を読もうと手にしていても2ページ程度で投げ出してしまうありさま。でも、この本は不思議とするすると読めてしまい、気がつくと夜の2時。寒い。自宅にいてもこれだけ寒いのに………と思いつつ就寝。

 昭和20年代の鉱山町を舞台に、復讐の怨嗟と愛憎が入り乱れ、猟奇な連続殺人に名探偵が挑むというミステリだけれど、昭和レトロなキャラクターをライトノベル的にブラッシュアップしたような名探偵たちが異彩を放っています。
 ミステリのトリック的にはオーソドックスだとおもうのだけれど、江戸川乱歩の『怪奇四十面相』とか横溝正史の『八つ墓村』のような舞台に、こいつバカか?と思うくらい行動的で気障な探偵と、ライダーマンのように用途に合わせて義手を取り替えていく胡散臭さ爆発の頭脳派探偵、そして2人の名探偵に翻弄される助手……という構図です。
 読み終わると「確かに“大冒険”だなあ」と納得。続編とか姉妹編とかも出ているようなので、探してみたいと思います。

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コメント
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