付け焼き刃の覚え書き

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「ロンドン幽霊列車の謎」 ピーター・キング

2011-03-25 | ミステリー・推理小説
「本当に“ふつう”の人なんていやしない」
 エドワード・パーカーの言葉。

 語り手である“わたし”ことネッド・パーカーは辻馬車業。死んだ父親は辻馬車業の傍らに警察の情報屋もやっていたらしく不審死を遂げているが、ネッドも命あっての物種と思いつつも好奇心旺盛のせんさく好き。
 ある日、彼が乗せた客は奇妙な服装をしていた。どこか違和感のある服装。足下を見たネッドは、それが聖職者の衣装を仕立て直したものであることに気づいたが、その男が死体となって発見され、同業者のひとりが殺人容疑で逮捕されたばかりか、彼自身も容疑者だということになり……。

 時代としてはホームズと同時代の話。御者仲間6000人の力を借りて……と帯には書いてあるけれど、その言葉から想像するような話じゃなかったです。昔のNHK放送の『警部マクロード』とか映画『コンボイ』などでは、仲間の危機だ!と大型トラックが群れをなして疾走したりしましたが、そういう光景を期待してはダメでした。むしろ辻馬車組合をつくろう!と社会運動してます……。
 推理小説としても本格ミステリというタイプではなく、好奇心旺盛な青年が2つの犯罪組織の対立に巻き込まれながら隠された秘密に挑む冒険小説に近いもの。映像向きです。最後の最後までどう転がるか、わくわくしながら読み進めることができたので満足。

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