付け焼き刃の覚え書き

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「A君(17)の戦争3~たたかいのさだめ」  豪屋大介

2011-05-19 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「結局、良く伝えるか、悪く伝えるか、それだけ」
 正義も悪も報道する側の気分次第であり、公正な報道など存在しないとMNNのキャスター、中島ワティア。

 第二次セントール会戦は双方痛み分けに終わったとはいえ、魔王領がランバルドと比較して戦力的に劣っていることは否定できない。雪解けを待っていては戦力比は開く一方であり、そのときには6倍の敵と戦うことになる。戦力の再編を待っていては敗北しか残っていないのだ。
 だから、剛士はこの時期の攻勢を決定する。
 そして、少年は初めて自分の手で人を殺した……。

 魔王領の逆境も続きますが、同時にこの戦いを陰で仕掛けている存在に気づき始めます。ランバルドと魔王領との関係が決定的に悪化する直接の原因となった、セントール平野の共同入植地で起きた虐殺事件は、そもそもの発端からして不可解な話だったのです。

 さて、魔王領の軍事指導者として崖っぷちの剛士とは対照的に、虜囚の身となった魔王の田中さんはますます快調。シレイラ王女相手に一歩も引かないところなど、さすが魔王というところも見せてくれますが、幽閉された居室を拠点に同人誌製作と同人作家の育成を続け、すっかり同人ゴロとなっています。おつきのメイドさんたちもすっかり同人作家へと調教されてしまい、総ウケだのペドだのと修羅場の執筆が続きますが、ついにランバルド王フェラール三世が参戦!……って、ここだけまったくの別時空です。
 こういう「相反するんだけれど、互いを台無しにしない2つのストーリーライン」という話は好きです。ときどき「こっちでみんなが真面目に戦って傷つき死んでいるのに、こっちでこんなにおちゃらけていていいのかよ!?」と台無しにしちゃう話ってあるんだけれど、この話は不思議とバランス良く読めるのは登場人物が状況を理解しているからだと思います。

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コメント
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