「その名は山中鹿介！」 つるみ犬丸

「まさに人生の如し。駅伝とは忍苦そのものじゃのう」
　駅伝に挑戦する山中鹿介の言葉。

　天沢出雲の家に押しかけてきたのは、山中鹿介と名乗る髭もじゃの巨漢とその娘だという可愛らしい少女。２人は入院中の祖母の許可を得て、天沢家に居候することになるのだが……。

　……と話をまとめるとＦ不二雄のマンガみたいだけれど、一応メインストーリーは駅伝大会に挑む出雲の物語。
　とにかくどれもこれも半端な印象。いろいろキャラを出し、あれこれ伏線を張りつつ、それを出雲視点のままで一斉に片づけようとするので唐突な展開に思えることもちらほら。駅伝で走者が途中から勢いを取り戻す理由もどこか唐突。小夜がメイド喫茶に務めることになりました、駅伝で走っていてペースが落ちました、バイト仲間が応援に来ていてそれでペースが戻りました……って、読者には小夜にとって陽香留たちの声援がそれほど大きな力になるとは伝わってない気がします。出雲のいない場所で小夜がどのように仲間と呼べる人間関係を築いていたか読者に分からないんです。仲よくはしてもらっていたようなんだけれど。
　他のあれこれについても同様。主人公は納得しているみたいだから、いいのでしょうけどね。

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「赤いロボット自動車」 アイザック＝アシモフ

　富豪のハリッジからロボ・カーを譲られた運転手のフォーカーズは、やがて廃車となったロボ・カーのレストアが生きがいとなった。
　彼によって再生されたロボ・カーは51台。その中でも彼のお気に入りは真っ赤なスポーツカー・タイプのサリーだった……。

　このシリーズは「絵本」ではなく「絵話」。絵本よりちょっと文章が豊富なイラストがメインの本という意味で、刊行は昭和44年、監修は曽野綾子。
　全15巻構成で、世界昔話、イソップ物語、オズの魔法使い、名犬ラッシー、孫悟空、人魚姫と古今東西の名作文学を取りそろえつつ、なぜか13巻めがアイザック・アシモフ原作の「サリーはわが恋人」ときたもんだ。
　こういう地道な布教活動が実を結ぶんだよね。
　マンモスフリーマーケットで購入。うちの子供たちが寝物語で聞かされるお話の１つとなりました。

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