付け焼き刃の覚え書き

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「勇者イサギの魔王譚(1)」 みかみてれん

2014-11-26 | 異世界転移・召喚
「落ち込んだときは、放っておいてくれよ、って人はよく言うじゃないですか。ぼく、ああいうのは逆効果だと思うんです。本当に凹んで、どうしようもなくなったときって、人は構ってほしいんだと思うんですよ」
 辛いときは側に誰かがいなくちゃダメだと小野寺慶喜。

 異世界に勇者として召喚された少年、浅浦いさぎは仲間たちとの苦難の旅の末に、ついに魔帝アンリマンユを討ち取った。これからは婚約者と平和の日々が……と思った瞬間、その世界から姿を消した。
 気がついたとき、彼は見知らぬ少年3人と共に魔王城にいた。
「お、お願いします、魔王さま方……わたしたちを、冒険者の魔の手からお救いくださいませ……」
 そう彼らに頼むのは、アンリマンユの遺児デュテュ、そこは先ほどまでいた魔王城ではあるけれど、魔王が斃されて20年後の世界らしい。冒険者の手によって滅びようとする魔族の救世主、次期魔王候補として召喚されてしまったのだ……。

 もともと魔族から仕掛けた戦争てはあったけれど、勇者の力で状況が逆転した途端、人間が調子に乗ってしまい、魔族どころか同盟相手だったエルフやドワーフまでも虐げるようになってしまった……という状況で、間に挟まれてしまった主人公。でも、彼にとっての1番は人間のことでも魔族のことでも召喚仲間の日本人高校生たちのことでもなく、20年前に生き別れた少女のこと。
 なんとなく、取っつきわるい表紙といかにもハーレム・ファンタジーな口絵イラストに読む気はなかったけれど、ぱらぱら立ち読みしてみたら意外に面白かったわよとは買ってきた妻の弁。これもウェブ小説がベースだけれど、書籍化にあたって全面改稿とのことで、嫁さんの話だと登場人物と導入部まではほぼウェブ版のままだった……そうです。
 ということで、どういう方向に向かうのか、楽しみです。理想を失って権力者の道具となってしまった冒険者ギルドを叩きつぶす話になるのかしら?
 イラストも売れ筋とは違うと思うけれど、真面目にしっかり仕事をこなしている、どういう場面か情景が伝わるようしっかり描き込み、画面構成に手を抜かない良い挿絵です。

【勇者イサギの魔王譚(1)】【夢の始まりを始めるために】【みかみてれん】【荒川眞生】【エンターブレイン】【封印】【迷宮女王】【冒険者ギルド】【中二病】【決め台詞】
コメント
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