「記録は大事ですよ。曖昧な記憶に頼るのは問題のもと、日々の業務の内容は日誌か報告書に残すことって研修でも言われましたし、就業規則にも」地方公務員法から組織図まで膨大なデータを頭に入れていても、火乃宮祈理はこまめにメモをとる。
京都市では「妖怪」は差別語らしい。ちゃんと税金を納めている市民が「妖しい」とか「怪しい」などとけしからんと文句を言うものがいるらしいのだ。
公務員として採用されて総務に配属されたはずの祈理は、いつの間にかいきいき生活安全課なる別室に飛ばされていた。そしてこの「いきいき生活安全課」こそ、市内に住む妖怪たちと人間の取りまとめに奔走する部署だった……。
妖怪相手の公務員の話とかいうと『クロクロク』とかありますけれど、やはり新人の女の子が頑張る話は良いのです。新しい職場に妖怪と、これまでとはまったく常識の違う世界に二重の意味で放り込まれた、歩く六法全書みたいなキャラクターがきちんとストーリーに生かされて、活き活きと飛び回る姿は面白かったのです。このキャラ、いいよ。
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