
最近では妖怪が主人公やメインキャラになったり妖怪退治がテーマの軽いタイプな時代小説が多いので、これもいけるかと思いましたが3巻完結。自分はここ数年のファンタジー系時代小説でいちばん好きなんだけれど、これも『やり直してもサッカー小僧』と同様、レーベル間違いなのかもしれません。ウェブでいうとまだ半ばに至らずというあたりで終わったため、娘たちの嫁入り話とか玉菊の逃亡などまで語らず、薩摩もんとか忍者とか同心二十四人衆とかほとんど出番が回ってきていないし、魔女イリシアの転生・九郎の不老不能などの謎は放置なのが残念。
異世界からやって来た現代日本人の九郎が、江戸の蕎麦屋で居候して、細長くて頑丈でものを縛ったりするヤツみたいと思われながら、飯を食い美味いと愉しみ、酒を呑んで遊び歩き、奇妙な友人を作り、人助けに奔走し、悪党とケンカしたり役人から逃げたりする物語。
「おめでとう、己れ。ありがとう人生。そしてようこそ、幸せな老後よ……」
長崎で手に入れたオランダからの知識といいつつ未来を語るアル中の妖怪浮世絵師・鳥山石燕とか、千年生きているというのも嘘ではなさそうな医者の阿部将翁とか、人殺しが好きで好きで油断していると味方もばっさりやりかねない同心二十四人衆“切り裂き”の中山影兵衛とか、凄腕だけれど年下趣味の同心二十四人衆“青田狩り”菅山利悟とか、主人公以上に濃くて、“凄いけれど残念”か“スゲーんだけれとポンコツ”な人々が活躍する大江戸人情ドラマ。
もともと江戸の日常話が中心みたいなものなのでどこで終わっても支障はないのだけれど、そうすると影兵衛の殺人鬼ぶりばかりがやたら印象に残るんですね。「野球やろうぜ」みたいなノリで「盗賊、皆殺しに行こうぜ」と誘ってくるの。
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