付け焼き刃の覚え書き

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「稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ2」 嵐華子

2023-12-27 | 異世界転生
「だって貴女、可愛らしいわ。馬鹿な子ほど可愛いと言うじゃない?」
 確かにシエナは愚かで自己中心的で嫉妬深く、何かとラビアンジュを敵視し憎み、時には命に関わる嫌がらせをしてきても、ついつい彼女はこの愚劣な義妹を祖母目線で見てしまうのだ。

 転生を繰り返した天才魔法師ラビアンジェは【無才無能】として平穏な日常を堪能していた。前々世の魔術も、前世の科学知識も、今世でもあいかわらず彼女に懐き倒している聖獣の力もあえてないものとしている。無才無能だから、特に何かしなくてもいいのだ。できないんだから(と本人は主張している)。
 しかし、箱庭事件の元凶である義妹シエナへの周囲の学生たちからの風当たりはきつくなっており、シエナはラビアンジェへの報復を考えるようになっていた。もちろん逆恨みである……。

 わたし、無才無能なのよーと言いつつ、バカにされても気にしなく、その実、別名でデザイナーとして活躍していたり、人気のベストセラー作家だったりするし、いざとなったら世界中の聖獣が助けに来てくれる主人公が、ふりかかる火の粉を片手で払いのけながらスローライフを楽しむ物語。
 ウェブ小説の「ざまぁ展開」ものは、最初の5分で水戸黄門の印籠が出るとか、お奉行様が諸肌脱ぐような展開が増えて、なんか最初に主人公にヒドいことしたらしい仇役が延々と裁きを受けるだけみたいな話が長短問わず増えた気がします。ここまで来ると一種のSM小説ですね。愛の名の下にふるう鞭ではなく、正義の名の下に棍棒ふるってるんですが。
 この話にそんな歪な正義を感じないのは、主人公がもう過去のことは関係ないよと勝手に水に流し、これからのことはそのつどやり返すから問題ないよというサバサバ感があるからのような気がします。そもそも、相手がどんなヒドいことをしたと思っても、本人がなんにも苦にしていないという、まさに横綱相撲。

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