付け焼き刃の覚え書き

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「つぶやき岩の秘密」 新田次郎

2024-01-23 | トレジャーハンター・宝探し
「紫郎、お前は海だけを見ておればいいのだ。戦争が残した、傷跡の穴なんかにとらわれることなしに、海と空を見ながら一生懸命に勉強することだ」
 源造は孫の紫郎に要塞跡地などにかかわらずに生きていけと告げる。

 早くに両親を海で亡くして祖父母に育てられていた、小学校6年生の三浦紫郎少年は友達らしい友達はいない。彼の楽しみは朝夕に、相模湾に面した浜を歩くことだ。大潮の日には岩場に耳をあてて「海のつぶやき」を聞くことだけだ。複雑な潮流によって岩がつぶやくような音が聞こえるのだ。
 9月の大潮の日、いつものように「海のつぶやき」を聞いていた紫郎だが、その日のつぶやきはなぜか母親がすすり泣くかのような音に聞こえた。そしてその直後、およそ人が近づけそうもないような岩壁の上に顔の黒い老人が立っているのを目撃する……。

 昔、NHKでは平日夕方の時間帯に小中学生向けのテレビドラマをシリーズで放映していました。青春ドラマからSFまでバラエティに富んだラインナップでしたが、『つぶやき岩の秘密』もその1作として全6話で放送されました。ジュヴナイルなんだけれど、内容的にはサスペンス・ミステリ。戦中に軍の要塞が建設され、未完成のまま放棄されているという岬を舞台に、その近くの海で両親を失った少年と老人たちの妄執の物語。

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