付け焼き刃の覚え書き

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「北政所様の御化粧係《三》」 笹倉のり

2024-01-25 | 戦国転生・歴史改変
 徳川へと嫁いだ秀吉の妹、駿河御前こと旭姫が心を病んで帰洛した。ただでさえ秀吉の命で仲睦まじかった元の夫と別れさせられた上で家康の正室へと嫁がされ、なんとかその生活に慣れてきた頃に元夫の死を知らされたのだ。
 可能な限り万全な受け入れ体制を整えた与祢だったが、他の家族と違って農家の娘ままの地味な庶民気質が抜けなかった旭には、しっかり化粧して最先端のファッションに身を包んだ与祢に馴染むことができなかったのだ。そんな2人を大政所が取り結ぶ。天下人の母ながらどこにでも畑を開いて野良仕事を始める女傑ならではだ。
 そんな慌ただしい中に、さらに大型イベントが舞い込んでくる。帝の聚楽第への行幸がきまったのだが、帝を迎えるにあたって最先端の流行を揃えて豊臣の威光を参列者全員に見せつけようという秀吉の意向だ。当然、与祢が城の女性陣の御化粧全てを担当することになるのだが……。

 山内家の9歳の娘にすぎない与祢が、粧内侍こと豊臣豊子になるまで。もしくは旭の覚醒まで。与祢が大イベントのメイク総責任者として、新作コスメの開発から予算獲得、当日のスケジュール管理と山積みの難問を、前世の経験を活かして乗りきっていきます。

「美しさは女の剣であり、装いは女の鎧。それを研ぎ澄まし、磨き抜くために私は一切の妥協をいたしません」
 予算を使いすぎだという石田治部に対して、此度の行幸は戦なのだと一歩も引かない与祢。

 バトルものでどういう職のものがどんなスキルでどのように戦うか克明に描かれるように、シェーディングもハイライトもファウンデーションもコンシーラーもどのような素材のものを使い、相手の肌具合や衣装や赴く場所まで配慮して、どのように化粧が施されていくかが詳細に語られていきます。
 まさに彼女らの戦場なのです。

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