付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「殺意の惑星」  ハリイ・ハリスン

2020-04-20 | 超能力・超人・サイボーグ
「いままで歴史の歯車を動かし続けて、今日のきみたちに、充実した長い幸福な人生を送らせるようにしむけてくれた、数かぎりない死者に対するそれ(義務感)だ。かれらがきみに与えたものを、きみはほかの者にひきつぐ。それがヒューマニズムのモラルの根本原理だ」
 イージェルはブライオン・オランドに旅立ちを命じた。

 宇宙に進出した人類が大崩壊によって孤立し、それぞれの植民惑星に適応するようになった未来。
 へびつかい座の惑星アンヴァールの人類は厳しい冬と短い夏に適応し、季節によって代謝も性格も大きく異なっている。そんなアンヴァール人にとって退屈な冬の娯楽は、スポーツと知的ゲームを組み合わせた競技会「二十種競技」だ。その繰り返しが、知的にも肉体的にも優れ、エンパシー能力さえも持った超人を生み出すことにもなった。
 その年の優勝者はブライオンだったが、彼は元優勝者イージェルによってエリダヌス座イプシロンの第三惑星ディスと惑星ニーヨルドの惑星間戦争の危機を防ぐため、惑星外に連れ出される……。

 蛮性マシマシなディス人と、知的に判断しすぎて「話にならん相手は滅ぼす!」なニーヨルド人の間に放り込まれた主人公の、異文化冒険譚。道案内をするのは古き地球の文化交流財団CRF。
 波瀾万丈の設定の物語が、今の基準では中編程度の分量でさくさく展開するのが60年代SFの魅力です。

【殺意の惑星】【ハリイ・ハリスン】【角田純男】【ハヤカワ文庫SF】【全滅兵器】【コバルト爆弾】【水素爆弾】
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