「幻獣ムベンベを追え」 高野秀行

　1988年に早稲田大学の探検部が実施した、コンゴ探検の記録です。
　目的は、秘境テレ湖に棲むと伝えられている、謎の恐竜ムベンベを発見すること！
　もちろん今現在、怪獣・恐竜の実在が確認されていない／失敗したということにはなりますが、入国すら困難で科学調査も満足におこなわれていないテレ湖のこと。そこらへんの虫や草を採取して帰るだけでも大成果という世界。

　しかし、まあ、よくぞやったという話。コンゴの役人との折衝に難儀し、原住民の文化や信仰と衝突し、ハエやアリにたかられ、サルは常食、ゴリラも食った、チンパンジーも食った。次は人間を食えと言われたら食えるかも知れない……。
　でも、なによりの苦難は、仲間同士の連携の中にあったのでしょうね。人間同士の関係がこじれたら、生半可のトラブルではありません。最後に掲載された隊員たちのその後と感想は一読の価値有り。
　そして、このときの記録がムベンベ存在説に終止符を打ったのでした。なむ。

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