「デーモンルーラー」 一江左かさね

「お金は大事だぞ。拘りすぎは駄目だが、若い内から考えないと、後で後悔するから」
　現実では、人生の大部分はお金の多寡で決まってしまうのだと五条亘。

　某省庁某局、その某地方事務所の中間管理職である五条亘は、仕事に追われて定時どころかその日のうちに帰宅するのも難しい日々をおくっていたが、ある日気紛れからアプリゲーム『デーモンルーラー』をダウンロードする。
　ところが、それは本当に悪魔を召喚し使役するアプリであった。「世界に悪魔の手が迫っている。悪魔を倒しＤＰを集めて自分の悪魔をパワーアップ」などという説明書きは、実のところ世界の真実だったのだ。
　自分の目の前に現れたピクシーが幻覚でないことにやっと納得した五条は、金属バット片手に世界の裏側の異界の地に突入していった。悪魔と戦うのは自分の仕事だよとアピールするピクシーの言葉に耳も傾けず……。

　イラストで買おうと思ったことはあったけれど、作品紹介がつまらなさそうで保留してました。現実世界がゲームになって、中年サラリーマンが美少女モンスターを使役して大暴れって定番みたいな話じゃないですか。ところがウェブでつい読み始めたら面白かったんですね。
　ありきたりなダンジョンに入って戦って強くなって美少女キャラが仲間になっての繰り返しじなくて、異界の戦いと現実世界の出会いや事件がうまくリンクして、ルーチンワークに陥らないテンポの速い展開にわくわくしたまま最新話まで一気読み。
こりゃ書籍を買わなくちゃいけない。というか、なんで今まで買ってない？　自分を叱りつつ書店にゴー。
　冴えない公務員の職場の様子にげんなりしつつ、仕事の合間に異界でストレス発散する姿に涙。良き出会いがありますようにと祈りつつ読み進めました。
　陽気で明るく、ノリが良いけれど、実は骨太な現代ファンタジーアクション。つまるところ、サモナーさんがペルソナ４を行く。

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