「もっと飲まないと、祖国と同胞に対する裏切り者とみなされるわよ!」
ロシアのレストランの美人ウェイトレスは、客のウォッカ消費量が少ないと厳しくチェックする。
著者はNY超有名店の破天荒シェフ。自分が「食」に目覚めた幼少時代から酒と女とドラッグにのめり込んで店を点々とした修行時代を綴った『キッチン・コンフィデンシャル』がベストセラーになったものだから、売れているうちに利用できるものは利用しようとテレビ局とタイアップして「究極の食」を求めて世界を巡る旅に!(オーナーは引き留めてくれなかったし)
美食家の垂涎の的であるオート・キュイジーヌに舌鼓を打ったかと思えば、片田舎の売れ残りの定食でもだえ苦しむ山あり谷ありの世界旅行(鼻持ちならないテレビクルー付)。豚のに立ち会い食材の製造過程を目の当たりにしたポルトガル、幼少時代を弟と共に追体験しようとして失敗したノルマンディー、ベトナム戦争の痕に悪酔いするサイゴン、クメールルーシュの影響力がいまだ色濃いカンボジア、女性陣に引きずられバーを梯子して美味い酒とつまみに酔いしれたバスクと世界各国を訪問します。
前作を読んで、どんなところにでも行ってどんなモノでも食べられる人だと思っていたら、さすがにネバネバ系はお手上げだったらしく、トーキョーでは納豆や山芋に苦戦することになりますが、あれやこれが食べられるのにこっちはダメというあたりが食の不思議です。
毒舌ぶりもあいかわらず。サラダバーは出すのは(コストが下がるから)好きだが食べるのは(雑菌だらけだから)キライだとか、クリスマスメニューにトナカイを出せば子供は泣き喚くぞと嬉しそうに語ったり。
ただ、それが嫌味になりすぎないのは、本人はちゃらんぽらんで好き勝手やっているように見えながらも偽善を嫌い、政治家や役人の権威を小馬鹿にして、美味いものは美味いと讃え、不味いものには罵声を浴びせ、愉しいときには笑い、苦しいときには泣き、正直だってところがはっきりしているからでしょうね。そのあたり、椎名誠の著作から受ける印象と似ています。
EUへの非難もかなり目立ちます。言及箇所そのものは多くありませんが、EUの無理矢理な規制が中小企業を苦しめ、伝統的な食材を排斥し、食文化をダメにしていると厳しいです。EUは小企業憲章を採択するなど、マイスターの昔から職人を大事にしているというイメージがあっただけにこれは意外でした。(2009/05/22)
ディスカバリー・チャンネルでの著者プロフィールによると、ボーディンは「ベストセラー作家、グルメ、美味を求める冒険家、愛飲家、喫煙者、快楽主義者……」とリストは続きますが「シェフ」って書いてないんですが?(2009/05/22)
【世界を食いつくせ!】【キッチン・コンフィデンシャル・ワールド・エディション】【アンソニー・ボーデイン】【新しいロシア人】【EU】
ロシアのレストランの美人ウェイトレスは、客のウォッカ消費量が少ないと厳しくチェックする。
著者はNY超有名店の破天荒シェフ。自分が「食」に目覚めた幼少時代から酒と女とドラッグにのめり込んで店を点々とした修行時代を綴った『キッチン・コンフィデンシャル』がベストセラーになったものだから、売れているうちに利用できるものは利用しようとテレビ局とタイアップして「究極の食」を求めて世界を巡る旅に!(オーナーは引き留めてくれなかったし)
美食家の垂涎の的であるオート・キュイジーヌに舌鼓を打ったかと思えば、片田舎の売れ残りの定食でもだえ苦しむ山あり谷ありの世界旅行(鼻持ちならないテレビクルー付)。豚のに立ち会い食材の製造過程を目の当たりにしたポルトガル、幼少時代を弟と共に追体験しようとして失敗したノルマンディー、ベトナム戦争の痕に悪酔いするサイゴン、クメールルーシュの影響力がいまだ色濃いカンボジア、女性陣に引きずられバーを梯子して美味い酒とつまみに酔いしれたバスクと世界各国を訪問します。
前作を読んで、どんなところにでも行ってどんなモノでも食べられる人だと思っていたら、さすがにネバネバ系はお手上げだったらしく、トーキョーでは納豆や山芋に苦戦することになりますが、あれやこれが食べられるのにこっちはダメというあたりが食の不思議です。
毒舌ぶりもあいかわらず。サラダバーは出すのは(コストが下がるから)好きだが食べるのは(雑菌だらけだから)キライだとか、クリスマスメニューにトナカイを出せば子供は泣き喚くぞと嬉しそうに語ったり。
ただ、それが嫌味になりすぎないのは、本人はちゃらんぽらんで好き勝手やっているように見えながらも偽善を嫌い、政治家や役人の権威を小馬鹿にして、美味いものは美味いと讃え、不味いものには罵声を浴びせ、愉しいときには笑い、苦しいときには泣き、正直だってところがはっきりしているからでしょうね。そのあたり、椎名誠の著作から受ける印象と似ています。
EUへの非難もかなり目立ちます。言及箇所そのものは多くありませんが、EUの無理矢理な規制が中小企業を苦しめ、伝統的な食材を排斥し、食文化をダメにしていると厳しいです。EUは小企業憲章を採択するなど、マイスターの昔から職人を大事にしているというイメージがあっただけにこれは意外でした。(2009/05/22)
ディスカバリー・チャンネルでの著者プロフィールによると、ボーディンは「ベストセラー作家、グルメ、美味を求める冒険家、愛飲家、喫煙者、快楽主義者……」とリストは続きますが「シェフ」って書いてないんですが?(2009/05/22)
【世界を食いつくせ!】【キッチン・コンフィデンシャル・ワールド・エディション】【アンソニー・ボーデイン】【新しいロシア人】【EU】
http://japan.discovery.com/series/index.php?sid=681
毎回「不適切な表現がふくまれています」と視聴者への注意が入る料理番組っていったい…。
この番組の取材のときの話なのかあ。
なんとなくアメリカン・リベラルの典型なのかな、とも思います。いい意味でもわるい意味でも。
「シャブの売人とヤク中の売春婦が闊歩していた古き良きNYはいずこに!?」……って、さあ。