付け焼き刃の覚え書き

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「青薔薇アンティークの小公女」 道草家守

2024-08-20 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 産業革命でこの世の春を謳歌しているアレクサンドリア女王統治下のエルギス。母親を亡くし、花売り娘としての居場所も失ってしまった少女ロザリンド・エブリンは美貌の貴公子アルヴィンに拾われたが、それは別に親切とか慈善というわけではない。道楽に走った彼のアンティーク店は「青薔薇」を謳い、花の意匠のアイテムさえ取り扱っているのに花も飾っていないとは何事だ、花でも買ってこいと言われたアルヴィンが、たまたま目に留めたローザをこれなら花の代わりで文句あるまいと引っ張ってきたのだ。
 アルヴィンの店「青薔薇骨董店」は、妖精と花がモチーフのものばかり。彼は伝承上の妖精に強い関心を寄せており、店は彼の蒐集品の陳列場所みたいになっていた。そこで看板娘としての指導を受け始めるのだが、労働階級の出身でありながらローザは既に上流階級の美しい言葉と所作を身につけていた……。

 妖精の伝承が薄れた産業革命時代を舞台に、天涯孤独の労働者階級の娘と心を失った道楽者の物語。妖精にしか興味はなく、人の思考を見抜いても心は理解できない妖精店主アルヴィンを、人の心に気づいて寄り添えるローザがカバーして真実に辿り着くミステリー・ロマンスです。

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