付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ストラトスフィア・エデン」 鳥居羊

2010-04-15 | 破滅SF・侵略・新世界
「俺らは仲間やからな。他人に理解されんでもええわ。自分で、自分の飛ぶ方角さえわかっとればええ」
 信長鷹志の言葉。

 空間交錯により異世界の知的生命体Dと接触した人類だったが、一般にそれを知らせることのないまま戦いに突入していた。
 少年カナタは五稜学園中等部に通う傍ら、その素養を見込まれて国連空軍に所属、人型飛行兵器アビオ・スケルトンのパイロットとして訓練を続けていた。
 そんなある日、登校途中のカナタは災厄の魔女と呼ばれる美少女と出会う……。

 なんというか、うまく『新世紀エヴァンゲリオン』などから要素を抜き出して構成し直したなあという感じに面白くまとまっています。いろいろな作品そのままというわけではないけれど、人型兵器に搭乗して正体不明の敵と戦う選ばれた子供達。主人公の少年は若い女性軍人に引き取られ同居しているが、彼や彼の仲間の少年少女たちと敵との戦いは、既に謎の機関の予期したとおりに進展していて……とかいつまんで説明すると、そのままに聞こえるんだよね。それで中身が違うところが面白いのだけれど、科学者たちの会話はちょっと急ぎすぎで説明口調っぽいな。

【ストラトスフィア・エデン】【鳥居羊】【筑波マサヒロ】【ダイダロス機関】【ローレンツ研究所】【濡れ下着】【幼馴染み】【グーで殴る】【海】【カナン断章】
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「幸福の桜色トルネード」 竹宮ゆゆこ

2010-04-14 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 生徒会の下っ端にして、能力はあるのに不運ばかりでパッとしない富家幸太が出会ったのは、“みんなの兄貴”と呼ばれオールマイティな生徒会長すみれの妹の狩野さくら。カリスマ少女の姉すみれは、全科目赤点というさくらの家庭教師をするよう幸太に命じるが、自分の色香に無自覚な天然扇情娘であるさくらは健全な男子生徒にとってはツライ相手だった……。

 本編では北村以外ほとんど出番のない生徒会メンバーを中心にした外伝。
 あっちこっちのレビューを読んでいると、不運続きで諦めきっている情けない主人公のタナボタ幸運を嫌う声も目立ちますが、まあ、これくらい良いことがあってもいいじゃないですかと暖かく見守ることにいたしましょう。少なくともこの不幸体質は自他共に認めるものであり、彼が幸福になるとその反動が周囲に及ぶ性質のものなようですから仕方がありません。禍福はあざなえる縄のごとし。ちょっとその振れ幅が大きいだけです。
 生徒会長も単なる横暴なだけでなく、ちゃんと気配りというか助けを求める無言の合図にそつなくこなせる人ですし、妹も単なる自覚のないエロ娘ではなく、きちんと努力できる娘ですから、読んでいて登場人物が不快に思えることはありませんでした。
 むしろ本編主人公の扱いはもっとさりげなく、読んでいないと存在そのものを気づかないくらいでも良かった気がします。

【とらドラ スピンオフ!】【幸福の桜色トルネード】【竹宮ゆゆこ】【ヤス】【家庭教師】【Vネック】【追試】【補習】【モルダー】【捏造写真】【ボーイ・ミーツ・ガール】
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「とらドラ5!」 竹宮ゆゆこ

2010-04-13 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「あたしは、川嶋亜美は、高須くんと同じ地平の、同じ道の上のの、少し先を歩いていくよ」

 夏休みが終わった。
 独身担任はついに三十路に突入し、生徒会は1日限りの文化祭に全力投入することを決意した。
 そんな文化祭準備で慌ただしい中、竜児の前に姿を現したのは大河の父親だった。仲違いしていた父娘を和解させようと竜児は奔走するが……。

 子供は親を選べないという話になるのかな。大きなイベントを順番にたどっている『とらドラ!』も今回は文化祭。生徒会がわっと動き出しますが、ここまで主人公たちに絡んでこない生徒会長というのも珍しいですね。
 イベントで明るく楽しく大騒ぎをしておきながら、それぞれの人間関係においても一歩前に踏み出しました。亜美については、ここがひとつの到達点かもしれません。
 イラストの男性キャラに魅力がないことだけが残念。

【とらドラ!】【竹宮ゆゆこ】【ヤス】【ラブコメ】【目つきの悪い主人公】【影の軍団】【文化祭】【ミス・コンテスト】【コスプレ】【プロレス】【あしたのジョー】【担任の赤い糸】【エスパー伊東】
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「お釈迦様もみてる/自分応援団」 今野緒雪 04

2010-04-13 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 お隣のリリアン女学園の学園祭の案内が生徒会に届く頃、花寺学院高校も体育祭が間近に迫っていた。
 しかし、クラスの雰囲気はまったく盛り上がらず、この不思議な雰囲気に祐麒は戸惑っていたが、そんな祐麒に対して小林は距離を置き始めていた……。

 柏木先輩がどれほどリーダーとして優秀かという話にはなるのですけれど、そして確かに面白い話ではあるけれど、男子校の話は華がないなあ。
 そして、いつも思うのは源平合戦。まともに合戦が繰り広げられるほど両者の戦力が拮抗しているというのは、花寺の運動部って実はたいしたことがないんじゃないかしら。大学あたりまで行くと、やるべきことは高校で全部やってしまったと、「なんでこいつがこんな軟派サークルに在籍している!?」というような体育会系向け人材が文系サークルにごろごろしてたりするんですが。

【お釈迦様もみてる】【自分応援団】【今野緒雪】【体育祭】
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「とらドラ・スピンオフ3!~俺の弁当を見てくれ」 竹宮ゆゆこ

2010-04-12 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 雑誌掲載やグッズ特典のおまけなどの未収録短編に書き下ろしを加えた10編を収録。

 人相の悪さで損しているけれど家事が得意な高校生の竜児。
 小さくてかわいいけれど、凶暴な大河。
 この2人を中心に繰り広げられるラブコメ小説のスピンオフ……なんだけれど、スピンオフ本来の“派生作品”という意味とは違うよね。もっぱら大河と竜児の本編では語られなかった幕間劇とかお遊びのパラレルワールド編とか。まあ、こういう話が読みたかったのだし、DVDとか買わなかったから文句はないけれど、言葉の正確性にこだわるのは性分です。
 特に良かったのは、本当に日常のスケッチだった『とらとら!』と、脇役たちの放課後の一幕を描いた書き下ろし『ラーメン食いたい透明人間』でした。
 でも、ちょろぎってモスラに似てるよね?

【とらドラ・スピンオフ3!】【俺の弁当を見てくれ】【竹宮ゆゆこ】【ヤス】【ラブコメ】【目つきの悪い主人公】【重箱弁当】【ちょろぎ】
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「さくら荘のペットな彼女2」 鴨志田一

2010-04-11 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「どんなことでもひとりでぱっぱと片付けられたら、かっこいいし、そういうのが大人になるひとつの方法なのかもしれないけれどさ。得意とか苦手とかあるし、ヒマだったり、忙しかったりは人それぞれ違うんだから、そういうのを認めて、さくら荘全体がいい感じに回るところを見つけて、うまいことやっていけばいいんじゃないかって」
 神田空太の言葉。
 ひとりでなんとかやろうとして自滅したら周囲にも迷惑がかかります。適当に他人に頼れるようになるのが大人なんだと思います。

 残念な高校生が寄宿しているさくら荘。そこに新たに転がり込んできたのは、空太のクラスメイトで声優志望の青山七海。
 真面目な彼女には天才少女・椎名ましろの飼い主になっていることなど知られてはならないと、右往左往する空太に押しつけられたのは、赤点だらけのましろの追試対策。だが、そんなことにおかまいなしに自分をモデルに裸婦デッサンに励んでいた彼女は七海にあっさり宣言してしまう。
「空太はわたしの飼い主よ」

 雑居生活ものの第2弾。学校の寮の話なのに、本当に学校が出てこないなあ……って、ああ、夏休みの話か。
 『神無き世界の英雄伝』のときは全部読み通せなかったのですが、これはさくさく読めて愉しんでます。いよいよ三角関係に突入で、男がまったく認識していないあたりギャルゲー的ではありますね。

【さくら荘のペットな彼女2】【鴨志田一】【溝口ケージ】【ダメ人間のファンタジスタ】【企画のプロ】【プレゼン】【自動メール返信プログラムAI】【プランC】【追試験】【夏休み】【夜のプール】
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「笑わない科学者と時詠の魔法使い」 内堀優一

2010-04-10 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
『知るということは、明日に繋がる何かを得ることだ。
知ろうとすることは、明日へと今を繋げていく行為だ。
明日へと繋げていこうとするとき、人は不安や絶望から僅かでも解放される。』


 大学で物理学を学んでいる大倉耕介は感情表現ができない男だ。人並みの感情はあっても他人に伝わるよう表現する能力が欠如しているのだ。
 そんな耕介に教授は1つのバイトを斡旋した。用意したマンションに住み、同居人の面倒を見て欲しいというのだが、その同居人というのがまだ幼い少女の咲耶で、しかも彼女は魔法使いだった……。

 なんか森博嗣みたいなタイトルだなあと思って手に取り、精霊の描写がまるで「もやしもん」みたいだけどコミックと違ってわかりづらいなと思いつつ読み進め、次第に耕介が科学者としての本領を発揮し始めるにつれて「こいつ、ガニマールみたいな男だな」と思ったのだけれど、たぶんこの本の読者では少数派の意見でしょうね。「科学と論理。そう、科学と論理で私はルパンに挑戦する!」と豪語する何代目かのガニマール警部。
 科学と論理で魔法の事件に挑戦する姿がステキです。
 話としては面白かったけれど、ところどころで浮いている感じのする部分がありました。探偵とか見合いの相手とかがなぜここにいて、なぜ主人公に対してこういう行動を取るのか。精霊魔法を使う咲耶がなぜ時詠ができるのか、血筋という以外にこれといった説明がないとか。別に2系統の魔法が使えても問題ないのだけれど、精霊魔法と時詠に関係があまり無さそうなのがちょっと気になりました。
 ただ、メインの3人の関係は面白くて良い感じ。『高杉さん家のおべんとう』みたいな不器用な人間関係は好きなんです。主人公の徹底した論理的思考も面白いので、この三角関係と主人公の論理思考を核に話を広げてもらいたいですね。あとは八百屋の息子ということで、もっと野菜のウンチクを交えた料理作りのエピソードを入れるとか。

【笑わない科学者と時詠の魔法使い】【内堀優一】【百円ライター】【人間消失】【タイ焼き】【論理的思考】【更新料】
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「コトノハ遣いは囁かない2」 木村航

2010-04-09 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「言葉は意思だわ。信じられれば、力をくれる」

 体育の授業中、いきなり発現して襲いかかってくるナイトメア。
 けれど今回は今までとはちょっと違っていた。夢魔を支援し、パワーアップさせる謎の存在がいたのだ!

 負の念によって異形化する人間に立ち向かう学園退魔モノの第2巻。言霊をマイクでがなり立てて敵を蹴散らすという設定で、退魔師ジャイアンなんか見てみたいと思いました。
 話としては前より突っ込んでいて、キャラがこなれて面白くなっている一方、イラストがさらにグレードダウンして、絵で選ぶいい歳の大人はちょっと引きます。糸の切れた人形のようなイラストは手に取るのが辛い。今回はやけに首が曲がっているなあ……。中のカラーイラストも、みんな首を寝違えてるよ。なんのポーズかわかんない。

【コトノハ遣いは囁かない】【木村航】【CH@R】【ナイトメア】
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「サイン会はいかが?」 大崎梢

2010-04-08 | 本屋・図書館・愛書家
 書店の謎は書店員が解く!とサイン会をめぐる事件を中心に、5つの謎に挑む多絵と杏子の事件メモの3冊目。英文タイトルでは2になっているので出張編はカウントされないようです。

「本当に業界を守りたいのなら、ナショナルチェーンにすがる前に小・中規模の個人書店にもきちんと配本すべきではないのか」
 実情を知った上で、知っているからこそ問いかけたいという坂木司の解説。

 日常系ミステリとしても面白いけれど、やはり気になってしまうのは文中であれこれ言及されている書店の現況。本当に取次の営業は口先ばかりで調子良いこと言ってるだけだそうだし、実績がないと配本されないのに新刊が配本されないから売れるわけがなく、売れないから実績がほとんど詰めないという負のスパイラルというのもその通り。
 近所の書店が電撃文庫の配本対象になったときには、本当に大きな張り紙で「電撃が新刊で入荷するようになりました!」と誇らしげに書いてあったっけ……。
 そうなるまでは、発売日に入荷しないのを確認して出版社や取次に発注をかけて配本してもらうので、入荷するのに数日のタイムラグ。これじゃあ町の本屋はオンライン書店に勝てないよねえ。

【サイン会はいかが?】【成風堂書店 事件メモ】【大崎梢】【サイン会】【社会見学】【雑誌付録】【万引き】【忘れ物】 
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「彩雲国物語 蒼き迷宮の巫女」 雪乃紗衣

2010-04-07 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「好きなもののために在り、そのために生きれば、いつだって世界は心地良い」
 それはあたりまえのことだけれど、王たるものには許されないことだという、門下省長官・旺季の言葉。

 何もしない者には誰も期待しない。いきなり性根を入れ替えたと言われても急に信用できるものではない。
 地震、飛蝗害、そして水害と各地の状況が伝わり始め、このままでは3年で人口が半減することが明らかになる。ほとんど選択肢のない手の内から朝廷は矢継ぎ早に最善と思える手を打っていくが、それは王である劉輝の権威を失墜させ、力を削ぐことでしかなかった。しかし、それ以外に打つ手がないのも事実であり、劉輝に反対することはできなかった。どちらにしろ、もう誰も王には期待していなかった……。

 すべてが王の手から離れていく中、木っ端御史と蔑まれながらも秀麗はただ縹家を動かそうと努力を続けます。けれど、それは劉輝のためではありません。嫌いなものを少しでも減らすため、人々を助けるため。秀麗は最後の時まで役人であり続けようとします。
 最悪の非常時に一官吏に何が出来るのか?……と、だんだん小川一水の『復活の地』みたいになってきました。そもそも、大臣クラスから無名の文官まで、事務方が命令系統を守って与えられた職務を黙々と遂行し、ぎりぎりまで待って耐えて、それでもどうにもならなくなったとき何をするのか……という話ですね。それは門下省長官も異能なき縹家の者たちにしても同じです。
 始まった頃のラブコメっぽさは微塵も残っていません。基本的に、主人公側の方が少数派なのは仕方がないとして、相手の方が有能で、自分の幸せよりも他人の不幸を減らすことを優先して考えているのですから、なんともなりません。
 あとは旺季の不在中に劉輝がどこまで1人で頑張れるか、まだ正体のはっきりしない別の黒幕がどう動くかになるのでしょうか。

【蒼き迷宮の巫女】【彩雲国物語16】【雪乃紗衣】【由羅カイリ】【か弱き者の最後の砦】【食糧隠匿】
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「アルサラスの贖罪(2)~女王と軍人」 ディヴィッド&リー・エディングス

2010-04-06 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 人智を超えた存在の闘争に代理人として関わることになった人間が、仲間を集めながら難問に挑むというのがエディングス作品の基本ライン。ワンパターンなのではなく既に様式美の域に達しているので、そこは問題ありません。読者としては、今回の登場人物たちがどんな人物か、彼らの人間関係がどうなっていくのか、自分が親近感を持てるかどうかが問題なのです。
 今回メインとなるのは副題通り女王と軍人。それも敵味方だったりするわけで、その水と油がいかに交わるかを愉しませてくれるのがエディングスです。

【アルサラスの贖罪】【女王と軍人】【ディヴィッド&リー・エディングス】【碧風羽】
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「世界の中心、針山さん(1)」 成田良悟

2010-04-05 | その他SF(スコシフシギとかも)
 3巻を読んで予想以上に面白く、2巻を読んだら期待以上に面白く、そこであらためて1巻に戻ったら……ああ、ちょっと苦手だ……。やっぱり2巻を長いこと放置したままだったのには理由があったんだなあと納得。

 魔法の国からやってきた少女がヤクザの邸宅に殴り込む話とか、いきなりすべての住民が自分は勇者の転生だ!などと言い出して殺し合いを始めた島の生き残りの話とか、荒唐無稽でありながらけっこう重かったり陰惨だったりするので、ちょっと敬遠しちゃったのですね。
 ただ、ここで登場した島とか魔法少女とか、2巻3巻でもネタとして引きずっているのだけれど、この先どう展開していくのか気にならないわけではないのです。

【世界の中心、針山さん】【成田良悟】【ヤスダスズヒト】【エナミカツミ】【棺原ラディ】【ガイアシャフト】【37564】
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「とらドラ4!」 竹宮ゆゆこ

2010-04-04 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「結婚って、すごくいいもののように夢見てたけど、やっぱ大変だな。……好きな人と二人っきりでいるんだもんね……こんなのが続くんなら、早死にしそう」
 幸せより緊張の方が大きいよと逢坂大河。

 ひょんなことからみんなで亜美の別荘に行くことになった夏休み。竜児と大河はそれぞれ好きな人との距離を縮めたいと考えるが、さすがにいつもの調子だと共倒れに終わると反省し……。

 見た目はチンピラだけれどお料理得意でお掃除大好きな竜児と、小さくて可愛いけれど凶暴凶悪な大河が起死回生を図ってドツボに落ちる青春ラブコメ、海の別荘編(肝試し付)。
 仲が良いのか悪いのか、竜児が好きなのか嫌いなのか、真意がなかなか読めない亜美ですが、なんとなくジャコウネズミさんの皮をかぶったスナフキンというポジションを占めつつあります。一方、担任の独身先生は30の誕生日を前にますます沈んでいっているのですが……。

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「コピーフェイスとカウンターガール(3)」 仮名堂アレ

2010-04-03 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「言葉ってのは時に間違っているほうがよく伝わったりするものだよね」
 早川早苗の言葉。

 無理無茶無謀と思われていた第一志望に合格した平良良平。後輩の早希からファストフードで合格祝いをしてもらっているところに、クラスメイトの明石明が彼女連れで出現。良平からもらったという旅行クーポンを使って4人で旅行に出かけようという話になったのだけれど、それはどう見ても平良一族の陰謀としか思えなかった。自分そっくりの島民ばかりの南の島へのバカンスの結末やいかに……!

 コピーみたいなそっくり顔の親戚ばかりの良平と、ツンデレ後輩の早希の物語もこの3作目にして完結。なんか良い感じの話で終わったけれど、2巻帯のアオリ文句「良平さんはわたしとサナ姉、どちらともつきあっています。しかも同時進行で」みたいな状況に陥りそうなので、先の予想をしてみるとここから先はR18指定かも知れません。完結で良かった……。

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「とらドラ3!」 竹宮ゆゆこ

2010-04-02 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「俺は竜、おまえは虎。……それだけだ」
 ここだけ聞くとカッコイイんだけどね……。

 高須竜児が悪いというわけではないし、北村が特別に亜美に甘いとかいうことはまったくないのだけれど、あっという間に天敵認定しあった手乗りタイガーこと大河と亜美。この2人が水泳対決するはめに陥ってしまうのだが、実は大河はカナヅチだった……。

 水泳の授業が始まった6月から夏休み直前の最後のプール授業までの物語。水着を買いに行く話なのに、表紙は夏服の大河というあたりが残念。もう少し統一感を出しながらも、表紙にバリエーションをつける努力をしなくちゃ。
 言葉だけではなく拳も応酬があるくらい仲の悪い大河と亜美なのに、結局、無視できずにつかず離れずの関係が面白いですね。

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