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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

月島物語

2009-07-05 22:27:04 | 四方田犬彦
四方田犬彦 1999年 集英社文庫版 1992年 集英社版
私の好きな物書き(この人の正確な職業の表現はよくわからない)四方田犬彦のエッセイ。(ほんとに“エッセイ”に分類していいのか、それもよくわからない)
文庫で読んで、単行本のほうは何年か後に古本屋で買ったんだと思う。

1988年から1994年まで月島に住んだそうだけど、1990年から92年までくらいのことを書いた本。
住んだのが長屋ってとこが面白い。
狭くて薄暗い路地をいったところの右も左も二階建ての長屋という町。
>一間四方の三和土(たたき)に、四畳半と台所と便所。それから思いがけないことに、昔なら女中部屋とも呼ぶべき小さな二畳半ほどの部屋が三和土のわきについている。二階に登ると、四畳半が二部屋。長屋の常で風呂はなく、これは路地を二筋越したところにある風呂屋に通えばよい。まるで戦後すぐの小津安二郎のフィルムに出てきそうな作りだ。(文庫版16ページ)

近所には知らない人はいないので、誰も鍵をかけたりしないし、用があってもチャイムなんか鳴らさず、戸を開けて「いる?」って声をかける町。ちょっと魅かれるものがある。
でも、そういうのって、安易に想像される家族っぽい付き合いぢゃなく、必要以上の干渉をお互いにしない個人主義から来てるってあたりの考察は鋭い。

全18回の連載をまとめた本なんで、いくつかのエピソードがあるんだけど、そのなかでも「佃の大祭」(1990年8月)に参加して、町内の半纏を借りて御神輿をかついだ話なんかが、やっぱ面白い。
あと、もんじゃ焼は私も食べたことあるんだけど、地元のもうひとつの伝統的な食べ物「肉フライ」(=レバカツ)は、食べたことないんで、ぜひ食べてみたい。


コメント
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