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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

あのころはフリードリヒがいた

2010-09-06 23:10:17 | 読んだ本
本ときどき馬っていうか、読書ときどき乗馬っていうか、そんなこんなで、とりとめのないことを書いてんだけど。
週に二日(も!)休みあったら、一日は読書したいもんだねー。

馬のことが間に入ると、なんか話がどこ行っちゃったか忘れそうになるんだが。
最近、“子ども部屋の世界文学”系をとりあげてました。
というわけで、今日は、読んでみました、『あのころはフリードリヒがいた』を。
ハンス・ペーター・リヒター作 上田真而子訳 1977年発行・2000年新版発行・岩波少年文庫版。
こないだのケストナーから、ドイツの児童文学つながりってだけぢゃなくて。
これは、先日も書いたように『子どもの宇宙』(=河合隼雄のほう)で、
児童文学には多くの子どもの死が描かれているが、そのなかで、できるだけ多くの人に銘記していただきたいと思う、少年の死がある。これほど最後まで読み通すのが辛い児童文学はあまりないであろう。しかし、われわれは読まねばならないし、読んだことは忘れてはならないのだ。
と推奨されてる本なんである。
岩波少年文庫らしく、本のカバー裏表紙に“中学生以上”なんて入ってるんだけど、例によって、私はこういう重要なものを子どものときに読んでないんで、今回あわてて買ってきて読んだというわけで。
1925年に生まれた「ぼく」=ドイツ人少年が語る、1942年までの物語。作者リヒターも1925年生まれだそうでして。
もうひとりの主人公フリードリヒも同い年。
フリードリヒ君はユダヤ人で、ふたりは同じ建物の上下の階に住むご近所さん。小さいころから一緒に遊んだりしてる。
各章に「生まれたころ(1925年)」、「雪(1929年)」、「ボール(1933年)」、「ポグロム(1933年)」のようにタイトルに西暦がついている。
アドルフ・ヒトラーが首相に就いた1933年あたりから、物語は俄然暗くなるんだけど。
大人の視点による時代背景の解説とか無しに、子どもの目から見た事実が淡々と書かれていく。
上に引用したように(いまさらネタバレ怒られることすらない有名な話なんだろうが)、最後、少年が死んぢゃうんだけどね。
解説は不要って感じです。

ちなみに『子どもの宇宙』の179ページは第7章の「子どもと異性」のトビラなんだけど、この『あのころはフリードリヒがいた』の挿絵、「ベンチ(1940年)」の挿絵がコピーされてんだけど、ベンチの前で立っている少年少女の絵の意味が、本作を読むまでわかんなかった。
コメント
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