コナン・ドイル 延原謙訳 昭和28年 新潮文庫版
おとといのつづきということで、名探偵シャーロック・ホームズにご登場願う。
持ってるのは、昭和55年の46刷。ホームズは新潮文庫版で全部読んだんだけど、同時期に一挙に読んだと思う。
で、まあ順番に採りあげてもいいんだけど、今回は『踊る人形』の入ってる、これにしてみました。
というのも、ポーの『黄金虫』には、宝の隠し場所を記した暗号文が出てくるんで、それ読んでホームズを思い出したからです。
『黄金虫』には、「53‡‡†305))6*;…」みたいな記号がいっぱいの暗号が出てくるんだけど、主人公ルグランはこれを英文と仮定して、記号ひとつにアルファベット一字が対応するものと見当をつけて、解いていく。
そのときに出てくる理論が、
>英語でもっともしばしば出てくる字はeだ。それからaoidhnrstuycfglmwbkpqxzという順序になっている。しかしeは非常に多いので、どんな長さの文章でも、一つの文章にeがいちばんたくさん出ていないということは、めったにないのだ。
っていうやつ。eを手がかりに、単語を探し、ほかの文字も推定していく。
で、ホームズの『踊る人形』も同じ。人形の絵ひとつが一文字を表している暗号を解くのに、同じ方法をとります。ここに出てくる暗号文は非常に短いものばかりなんだけど、
>最初の暗号文の十五の人形のなかに、同じものが四つあります。だからこれをEと押さえるのは、不合理ではありません。
とか何とか言って、解いてしまう。
物語の冒頭、例によって、何の話もしないまま化学実験の片手間にワトスンを観察して、「そうすると君は、この南阿株券へ投資するのは止めにしたんだね?」とか胸のうちを当てるとことか、なかなかホームズものらしいところいっぱいで、好きな短編ではあります。
コンテンツは、
「空家の冒険」 The Empty House
「踊る人形」 The Dancing Men
「美しき自転車乗り」 The Solitary Cyclist
「プライオリ学校」 The Priory School
「黒ピータ」 Black Peter
「犯人は二人」 Charles Augustus Milverton
「六つのナポレオン」 The Six Napoleons
「金縁の鼻眼鏡」 The Golden Pince-Nez
「アベ農園」 The Abbey Grange
「第二の汚点」 The Second Stain
どういうわけか、新潮文庫では、「ノーウッドの建築士 The Norwood Builder」「三人の学生 The Three Students」「スリー・クォーターの失踪 The Missing Three-Quarter」の三つは外されちゃってて、別の短編集に入れられている。
こういうのは、ちゃんと原典と同じ構成、同じ順序で収録してほしいなーと思う。
なんせ、いちど12話を書いて一段落としたところに、読者からの要望があって、しぶしぶもうひとつの「第二の汚点」を書き足したから、13の短編という本になったという逸話もあるんだから。
おとといのつづきということで、名探偵シャーロック・ホームズにご登場願う。
持ってるのは、昭和55年の46刷。ホームズは新潮文庫版で全部読んだんだけど、同時期に一挙に読んだと思う。
で、まあ順番に採りあげてもいいんだけど、今回は『踊る人形』の入ってる、これにしてみました。
というのも、ポーの『黄金虫』には、宝の隠し場所を記した暗号文が出てくるんで、それ読んでホームズを思い出したからです。
『黄金虫』には、「53‡‡†305))6*;…」みたいな記号がいっぱいの暗号が出てくるんだけど、主人公ルグランはこれを英文と仮定して、記号ひとつにアルファベット一字が対応するものと見当をつけて、解いていく。
そのときに出てくる理論が、
>英語でもっともしばしば出てくる字はeだ。それからaoidhnrstuycfglmwbkpqxzという順序になっている。しかしeは非常に多いので、どんな長さの文章でも、一つの文章にeがいちばんたくさん出ていないということは、めったにないのだ。
っていうやつ。eを手がかりに、単語を探し、ほかの文字も推定していく。
で、ホームズの『踊る人形』も同じ。人形の絵ひとつが一文字を表している暗号を解くのに、同じ方法をとります。ここに出てくる暗号文は非常に短いものばかりなんだけど、
>最初の暗号文の十五の人形のなかに、同じものが四つあります。だからこれをEと押さえるのは、不合理ではありません。
とか何とか言って、解いてしまう。
物語の冒頭、例によって、何の話もしないまま化学実験の片手間にワトスンを観察して、「そうすると君は、この南阿株券へ投資するのは止めにしたんだね?」とか胸のうちを当てるとことか、なかなかホームズものらしいところいっぱいで、好きな短編ではあります。
コンテンツは、
「空家の冒険」 The Empty House
「踊る人形」 The Dancing Men
「美しき自転車乗り」 The Solitary Cyclist
「プライオリ学校」 The Priory School
「黒ピータ」 Black Peter
「犯人は二人」 Charles Augustus Milverton
「六つのナポレオン」 The Six Napoleons
「金縁の鼻眼鏡」 The Golden Pince-Nez
「アベ農園」 The Abbey Grange
「第二の汚点」 The Second Stain
どういうわけか、新潮文庫では、「ノーウッドの建築士 The Norwood Builder」「三人の学生 The Three Students」「スリー・クォーターの失踪 The Missing Three-Quarter」の三つは外されちゃってて、別の短編集に入れられている。
こういうのは、ちゃんと原典と同じ構成、同じ順序で収録してほしいなーと思う。
なんせ、いちど12話を書いて一段落としたところに、読者からの要望があって、しぶしぶもうひとつの「第二の汚点」を書き足したから、13の短編という本になったという逸話もあるんだから。