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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

高みの見物

2011-06-04 19:42:05 | 読んだ本
北杜夫 昭和47年 新潮文庫版
きのうから、北杜夫のつづき。
「ぼくのおじさん」に書かれてたエピソードのいくつかは、この小説にも転用されているということで。
つまり、ダメなオジサンが、海外旅行に行きたいから、懸賞の一等賞品に旅行がついているコーラとかチョコとかの銘柄を指定して、子供たちに食うならこれを食えとすすめたりするとことか。
それはいいとして、この小説が知られているとしたら、主人公がゴキブリで、ゴキブリの眼から人間界を「高みの見物」している、という変わった点にあるんぢゃないだろうかと思う。
(漱石の「猫」は有名だけど、あーゆーのは動物変えても二番煎じと言われてできないもんだと思ってたが、さすがにゴキブリでやるとは誰も考えつかなかったのでは。)
フツーに面白いんで好きですけどね、私は。持ってるのは昭和57年の21刷。そのころよく北杜夫を読んでたんだけど、マジメな小説よりやっぱこういうやつのほうが分かりやすくて面白かった。
ちなみに、この文庫版の解説は井上ひさしが書いるんだけど、これまたゴキブリから声明文が送られてきたって形式になってる。
(どーでもいーけど、「だいぶ締切日も過ぎておりますので、これをもって解説にかえます」って文、当時は知らなかったけど、井上ひさしの遅筆ぶりを知るようになった今あらためて見ると、妙におかしい。)
コメント
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