many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

冷酒と君の科白は後で効く

2011-09-23 18:53:05 | 読んだ本
石寒太/内田春菊/高橋春男/ねじめ正一/冨士眞奈美/吉川潮/吉行和子 2001年 世界文化社
副題は「七人の句会」で、著者は句会に参加した七名の名前になってる。
発売は世界文化社なんだけど、発行は「TaKaRa酒生活文化研究所」となってて、酒造会社のタカラのことだろうが、「酒文ライブラリー」というシリーズを刊行してるらしい。
この本は、こないだ夏に札幌で“古本とビール”の店にいったときに、酒関係の本が並んでるとこから、ふと見つけて、面白そうだなって買った。
私としては、句会=俳句の本なのに、内田春菊さんの名前があったんで、オ?と思ったから手にとった。春菊さん、俳句やるの?
面白いと思ったタイトルなんだけど、読み始めてから気づいた、これは俳句だった。句会の題が「冷酒」だったときの、内田春菊さんの詠んだ句。
句会というのは、1999年8月から2001年1月まで9回おこなわれた、著者七名が参加するもので、この本はそこでの模様を披露したもの。
それぞれの句会では、宿題として出されてる兼題が三つと、その場で出される席題が一つ、ひとり四句ずつ出しあって、天・地・人(5・4・3点?)をひとつずつと、客(1点)を5つ、お互いに選びあって、評を加え合う。
宗匠である石寒太さんの推敲があるのがいいですねえ。
タイトルもそうだけど、私には、内田春菊さんの俳句らしくない句が面白い。
本人も本書内のコラムで、書き方わかんないとか、下手だとか、向いてないとか、俳句らしくしようと思ってないとか、言ってますけど。
「宝」という題(無季)での、「サイン下さい家宝にします嘘をつけ」とか。
で、全般的には、タイトルに魅かれて買ったけど、特に酒関係の本というわけではなく、マジメな句会の本でした。
もちろんスポンサー(?)の関係からか、毎回の題のなかにひとつは酒が入ってますけど、特にそれが目立つ感じでもないです。
どぶろくの瓶を枕にプルースト 衾去(冨士眞奈美)
熱燗や背で笑い合ふ二人連れ 駄郎(吉川潮)
男の座いつも危うきウーロン茶 エンジン(ねじめ正一)
昼酒の男ぶりよし秋扇 窓烏(吉行和子)
ひれ酒に鼻からゆるむしかめ面 不埒(高橋春男)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする