many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

運を育てる

2013-02-04 19:10:48 | 読んだ本
米長邦雄 平成5年 クレスト社
米長邦雄の勝負哲学が語られている一連のもののひとつ。
こないだの『人生一手の違い』のつづきのようなもの。
サブタイトルは「肝心なのは負けたあと」。
でも、この本が出たのは、7回目の挑戦で、ついに悲願の名人位を奪取した直後、つまり勝ったあとなんだけど。
そのせいか、前著の『人生一手の違い』にくらべて、すがすがしい感じがする。
前著が、厄年にハマッた出来事なんかでスランプへの対処とかを述べてるのに対して、本書は悟りの境地に達して、ついに大きな勝利を得た歓びにあふれてる感じがするのがいい。
とくに最終章で、名人奪取したときに、師匠から届いた祝いのファックスと、それに対する本人の感想のコメントがあるとこなんかは、長年のファンとしてはもらい泣きしちゃいそうなくらい、いい話である。
それはそうと、全般には、勝負の女神に好かれるためにはどんな生き方をしたらいいのか、ってことがテーマである。
だいたいにおいては、謙虚であって、笑いがなければならないというのが基本ではある。
(当時、扇子とかにも書いてた「惜福」というキーワードもある。)
そのあたりのこと、数々の難問に対しての具体的な対処例が書かれているのがおもしろい。
数学の試験で、それぞれ0点、0点、6点をとった、中学2年生3人(ひとりは息子)に、次のテストで100点をとらせようとする作戦とか。
年齢制限ギリギリで四段昇段を決めた弟子への教えとか。
自分がトップのつもりで仕事をしろっていう気概の話とか。
この話において、羽生当時竜王に香典を同じ額で立て替えを頼んだら、目の玉が飛び出るような額を包まれたという疑問を呈する若手に、著者は「彼は若いが自分が第一人者という気概があるから、誰にも見劣りしない額を包んだのだ」と諭す。
コメント
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