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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

マイイージスのこと。そして私は乗馬する

2010-01-26 19:59:59 | 馬が好き
週に一度は、馬の話題に触れてるかもしれないけど、今週の乗馬については、まず最初に悲しいことを書かなければならない。

美浦の乗馬苑のホープ、マイイージス(サラ・7歳)が、おととい1月24日の日曜日に逝ってしまった。

金曜日に疝痛を発症して、獣医師に診せてあらゆる手を尽くし、うまくいったかと思えたんだけど、日曜日の朝には救うことのできない状態になってしまい帰らぬ馬となった。
金曜日には忙しかったりしたのもあるけど、治るんぢゃないかと(甘い?)期待してたこともあって、見に行けなかったんだが、いま思うと行ってやればよかった。
競馬をみているなかでは、不幸な事故で脚を故障してとか、レース後に心臓マヒでとか、二度と立ち上がれなくなった馬を幾度も見てきたんだけど。私の場合、本格的に乗馬に携わるようになって4年、これまでも新天地への旅立ちとか、ふつうの別れはあったんだけど、幸運なことにいままでなかった身近な馬との悲しいお別れに、とうとう出くわしてしまった。避けられないことかもしれないけど、やっぱりつらい。日曜日には出張で不在にしてたんで、電話連絡を受けたんだが、なかなか現実感がなかったけど。
今朝は、乗馬練習の前に、からっぽの馬房におかれた台に、花を供えて、線香をあげた。主をなくした遺品の無口(頭絡)を前に、手を合わせた。何をしても彼が帰ってくるわけではないけれど、自分の気持ちを整理するには必要なことだった。
できることといえば、やっぱ生きてるうちに、一所懸命彼らを可愛がってあげることしかないんだろうなって、思う。そして、縁あって出会えた馬たちに対しては、そばにいるときにできるだけ可愛がってやるのと同様、いなくなっちゃってからも忘れないでいてやろうと思った。
マイイージスくんは、ほんと期待の乗馬だった。5歳で競走馬生活を終えて、乗馬としてもらわれてきたんだけど。おとなしさは生来のものだったのかもしれないけど、すぐに乗馬という新しい仕事にもなじんで。すでに去年は6歳という若さにもかかわらず(競走馬あがりなのに!)体験乗馬とかで初心者を乗せることができたりして。将来を嘱望されてた馬だったのに。

さあ、いつまでも泣いてはいられない。
私の乗馬の練習は、週イチという相変わらずのんびりペースなんだが、それでも休まず続けなきゃ。今日だって、「どれ乗ってもいいですよ」って言われて、二十数頭の馬がスタンバッてるんだから
どれ乗ろうかなーと思ったけど、なんとなく流れで、先週にひきつづきミラノにまたがる。

ミラノは、サラブレッドの12歳、どうでもいいけどトニービン産駒らしい名前だ。去年はじめて乗ったときは、歩様がコトコトしてたんだけど、最近そんなこともない。
馬場に出たら小さめの角馬場でウォーミングアップ。常歩、ハミまっすぐにしてハミに向かって歩かせる。速歩、きれいに巻乗りするようにこころがける。いずれもいつものとおり。
さて、駈歩。駈歩になると急に元気が出てくるこの馬 輪乗りしてると勢いにのって速くなるんで、「もっとゆっくり」って声をかけて歩度をつめる。ペースが安定したことを確かめて、また歩度を伸ばす、あっという間に反応するのが楽しい。
左右の手前でそれぞれ適当にやってから、さあもう一回。今度は駈歩の輪乗りを、だんだん小さくする。3周くらい渦巻状に小さく詰めてったら、その一番小さいままで2周くらいして、それからこんどは輪乗りを開いていく。はい、できた、ときどきカッカするようなとこあるんだけど、基本的には非常に乗りやすい
最後は輪乗りでの駈歩から蹄跡上に出る、長辺で歩度を伸ばして、短辺で歩度をつめる。なんかちょっとグダグダだけど、まあいいや、できたことにしよう
ここまでやっとけば障害向かっても大丈夫。(←当社比。あくまで私の感覚。)

広い馬場へ出ても、あんまり勢いよく行かせないで、巻乗り・半巻き、ゆっくりとしっかりした体勢を保つように心掛けて、回転をチェックする。ちなみに、8の字乗りも大好き(きれいにできないんだけどね)、左右の姿勢をすぐ入れ替えられるように気をつけて何度か回る。回転、回転、とにかく障害は回転がすべて。
さて、いよいよ障害。まずは、速歩でクロス。障害向かうとき速くならないように、飛ぶとき人が先飛びしないように。馬が上がってくるのを待つように注意される。
ぢゃあ、こんどは駈歩でクロス。輪乗りのなかで一か所に置いたクロス障害飛ぶようにって指示。
輪乗りだから丸く回ってなきゃいけないんだけど、障害向かう助走路が真っ直ぐになるし、飛んだあとしばらく真っ直ぐに行っちゃうしで、楕円になってしまう。それぢゃダメー だいたい馬の勢いに負けて、ペースが速すぎるってば。
はい、つぎ、駈歩で直線上の二つのクロス。障害と障害のあいだは6歩、1・2・3、1・2・3、はい、クリア。だいたい、ミラノ障害飛ぶのうまいんだよな、このくらい楽勝、楽勝。
ところが、「馬の好き勝手に走られちゃってるぢゃない!」って、先生のダメ出し 「もっとユックリ入って、障害間7歩で跳んでみなさい」という命令。
はい、いきまーすって、1・2・3、1・2・3、あっ6歩で飛んぢゃったよ、飛んだあと馬エキサイトして止まんねーし
「馬、走っちゃってしょーがなかったら、一回止めて、何歩か後退して」という指示。後退って、オレ正確な扶助知らねーよって思ったんだけど、見よう見まねで適当にやると、なんとか2歩くらい下がった(ホッ)。よしよし、いうこときくイイ馬ぢゃないか!
何回も繰り返して、7歩入れるように練習。結論として、最初の障害に入るときに、駈歩のペースを落ちつけていかないとダメ、そこで抑えて歩度を詰めてけば、障害間もコントロールするのにラクということが、ようやくわかる。
どうやら馬が手の内に入ったかなって感じになったとこで、いいイメージのまま終わりましょうってことで練習終了。例によってホメまくり(ポポポポポポポン!とクビを叩く)。
でも、何回目かの練習のインターバルのとき、ミラノがビタッと止まって動かなくなった。押しても引いてもビクともしないで、遠い目をしている、と言っても何かを見てるわけでもない、何が納得いかないのか?

(↑こんな顔して、クールに立ち止まってる…)
何度蹴っても動こうとしなかったんで、ムチもってないし、どうしようもなく手綱の余りの部分でペチっと叩いて、ようやく歩き始めてくれた。以降は、一回一回ではあまり止めずに次の練習に移行するように心掛けた。
ミラノは、ときどき、これをやるような気がする。なんか不思議だなー。

練習後は、ミラノの両脚を水で冷やしてやる。10分か15分ほどのことだけど、早く馬房帰りたいところだろうし、ジッとしてんのも退屈だろうから、そのあいだにリンゴをやったりする。

そしたら、今日は“王林”(黄色いリンゴ)を持ってったんだけど、なんかあんまり食べたくなさそう。いつもは、もっとくれ!って言うのに、とうとう3口くらいのあと食べなくなっちゃった。“サンふじ”だか何だか赤いリンゴはパクパク食べるのに、リンゴの種類の違いで好みいうなんてナマイキだぞ

終わったあとは、あらためて今いる馬たちの顔を見て(リンゴやったりしながら)撫でてまわる。馬たちとの出会いは一期一会、大事にしてやりたいと思う。

↓どーでもいーけど、「強鉄(ごうてつ)」がカイバおけ背負ってた、なんのつもりかわかんないけど、面白いので撮っといた。
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水中都市 デンドロカカリヤ

2010-01-25 23:19:04 | 読んだ本
安部公房 昭和48年新潮文庫版
シュールレアリスムつながりってことで、日本の小説だと、やっぱ安部公房になるのかと。
なんでもよかったんだけど、初期短編集の、これ。
持ってるのは昭和54年の10刷、中学んとき読んでた記憶ないんで、たぶん高校あがったころ読んだんぢゃないだろうか。当時こういうの、とても好きだった。
収録作は、
「デンドロカカリヤ」
「手」
「飢えた皮膚」
「詩人の生涯」
「空中楼閣」
「闖入者」
「ノアの方舟」
「プルートーのわな」
「水中都市」
「鉄砲屋」
「イソップの裁判」

「デンドロカカリヤ」は人間が植物になっちゃう話。「水中都市」は人間が魚になったうえに空中を泳ぎまくる話。シュールだなー
いまも昔も読んで一番恐いのは「闖入者」。ある日とつぜん大人数の家族が家に乗りこんできて、部屋を乗っ取っちゃうって話。勝手に居座って、ひとの家で寝起きして、飯を作れだのお茶を入れろだの言って、給料も全部とりあげちゃう寄生家族の恐怖。(なんか似たような話、筒井康隆の小説か、藤子不二雄のマンガかであったような気がするけど、思い出せない。)
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ねじ式・紅い花

2010-01-24 21:49:05 | マンガ
つげ義春 1988年 小学館叢書版
『デビルマン』からのつながりで、ハルマゲドンを描いたマンガへ行くべきかって思ったんだけど、そっち行くとけっこうディープなんで
ちょっと前のカフカに話もどって、カフカといえばシュールレアリスム、シュールの日本の傑作「ねじ式」をあげようと思う。
この名作『ねじ式』(1968年作品)については、パロディーでしか知らなくて(『すすめ!!パイレーツ』にも『マカロニほうれん荘』にも出てくる)、早く読まなきゃとは思ってたんだけど、1988年にビッグコミック創刊20周年記念出版としてこの単行本が出たときに読みました。
収録作は以下のとおり。
「沼」
「チーコ」
「初茸がり」
「通夜」
「山椒魚」
「李さん一家」
「峠の犬」
「海辺の叙景」
「紅い花」
「西部田村事件」
「長八の宿」
「二岐渓谷」
「オンドル小屋」
「ほんやら洞のべんさん」
「ねじ式」
「ゲンセンカン主人」
「もっきり屋の少女」
「蟹」
「やなぎや主人」
「大場電気鍍金工業所」
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デビルマン

2010-01-23 22:40:36 | マンガ
永井豪 文庫版5冊を買ったんだけど、その後引越のときに処分しちゃったんで、いま持ってない。
こないだのつづき。「Quick Japan」Vol3に「強力特集 ぼくたちのハルマゲドン」って記事があって。
「マンガで読む“最終戦争”完全カタログ」って角度なんで、1948年の手塚治虫「ロストワールド」から、1994年望月峯太郎「ドラゴンヘッド」まで、コミック年表がつくられてたりします、勉強になるなぁ。
永井豪のインタビューもあるけど、ハルマゲドンといったら「デビルマン」でしょ、やっぱり。
こどものころからテレビアニメは見てたんだけど、マンガはほとんど読んだ記憶がなかった。
学生のころ友達に「アニメとちがって、原作はすごいから読め」と言われてたんだけど、近年になってようやくまとめて読むことができました。
うん、すごいや。確かに。

デビルマン 全5巻セット 講談社漫画文庫
永井 豪,ダイナミックプロ
講談社

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マカロニほうれん荘

2010-01-22 21:01:48 | マンガ
鴨川つばめ 昭和52年~昭和55年 秋田書店 少年チャンピオン・コミックス全9巻
きのうのつづき、稀代のギャグマンガ「マカロニほうれん荘」
私は、少年ジャンプ、「すすめ!!パイレーツ」派だったけど、友達にはマカロニ派も多くいました。
いま読むと、江口寿史が多く影響を受けてるんだろうなって感じはあります。なにも、そうじが富士一平、きんどーさんが犬井さんとかってんぢゃなくて、ロックバンドのかっこして突如現れるとこなんかが。
あと、あちこちに現れるパロディーもアクセントになってて面白いです。
マカロニに関しては、こどものころ、ときどきつまみ読みしただけで、まとめて読んだことはなかったんですけど、平成6年に出た秋田文庫版3冊を買って読んでみて、あらためてスゴイなと思いました。
この文庫は、3冊×18話しか収録されてないので、やっぱちゃんと読んでみたくなって、5,6年前だったか古本屋でコミックス9巻をまとめて買いました。
(そのころ、けっこうマンガをまとめて買ってた。「デビルマン」とか「タイガーマスク」とか「漂流教室」とか「バビル二世」とか、こどものころのウッスラとした記憶しかないものを、どうしてもちゃんと読んでみたくて文庫まとめて買ったりしてた。)

で、読むと、なにがおかしいって今さら語ることもないんだけど、独自のリズム感がすごいというか、ノリがいいってのがあります。
それは、
>おや おたくは熱帯魚!?
>わが家じゃ毎日カツオにマグロ!
>うちじゃもっぱらイワシにタワシ!
>今夜のおかずはサンマのカバ焼き!
みたいな、一見もなにも意味のないセリフまわしにも表れてたりして、これが絵と相まると妙におかしい。
>キンドーさんのエンジンなに型?
>あらあんた あたしのエンジンは2500cc直列8気筒290馬力の北京エンジン54型よ
>へー としちゃんのは 空冷水平対向6気筒2858cc宇宙エンジン“ゴリ”型なんですよ
とか、トントントントーンって進むやりとりが好きです。
そういうお気に入りのフレーズあげるとキリないけど、一方で主にトシちゃんのかます意味不明なセリフも好きです。
「そうじ そんなにおこるなよ 山のクラゲがまた さわぐじゃないか」とか
「えっ いや トシちゃん 惑星間における繰り越し残高の計算やってたんですよ…」
とかって、どこがおかしいと訊かれても困るけど、ツボにはまっちゃうんだから仕方ない。

きのう挙げた「Quick Japan」Vol8の鴨川つばめ×小山田圭吾対談を、すっごい久しぶりに読み返したら、
>小山田 『マカロニ』を描くにあたって、最初からコンセプトはあったんですか。
>鴨川 具体的なイメージは全然なかったんですけれど、とにかく、ハードロックの楽しさをマンガで表現したい、っていうのが根底にありましたね。
という箇所があって、あらためて納得っていうか、ヒザをパチンと叩いたっていうか。
これは、ロックマンガなんだ! やっぱこのビートが最高。

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