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本書は、先日のビッグサイトのブックフェアーの河出書房のバーゲンコーナーでGETした。
定価だったら、手を出さなかったかも。
本書の読みどころは少ない。ほとんど写真。しかもほにゃららものばかり。
著者の福田和彦さんは、その道の権威だが、それにしても、よくもこれだけ、写真を撮りまくったものだ。それも、灼熱のインドで。
インドの5寺院の壁の浮き彫りと、ネパールの神々の写真だ。ミトゥナ像と呼ばれる。
その手の像は、世界遺産のカジュラーホのが有名だが、インドでは、他でも結構見られる。デリー博物館の展示の中にも、官能的な像が多く含まれている。
ただ、この手の像は、寺院の壁面に、群れをなしているところに、迫力と、信仰への思いが感じられるものだろう。
「この神殿の舞楽殿の音楽を奏でる天女を見よ。踊り、歌う天女を見よ。彼女たちは神々の歌を、踊りの妙なる響きをわれわれに伝える。この愛の響きこそが、まさに神々の響きとなり、波動となってわれわれの心を浄化するのである。これこそが心理であり、自我を超えた真の歓喜の世界である。これを形象化し、象徴させたものが太陽神殿の彫刻群であって、これを世俗化した眼でみてはならない。」
嬉しいのは、ネパールで見たミトラ像が多く載っていることだ。タンカという表現をしているが、屋根を支える木に彫られているもので、位の高い寺院に彫られるとガイドさんは言っていた。
実は、あのやはり世界遺産のエローラのカイラーサ寺院でも、この手の浮き彫りがあったのだが、本書では、取り上げられていなかった。こちらは、隠れるように、地味に彫られていたから、敢えて取り上げなかったのか、ご存知ではなかったのか。
そういえば、カンボジアや、インドネシアにも、ヒンドゥ教の遺跡があるが、ミトゥナ像を見た記憶はなかったなぁ。インド・ネパールだけなのかな?