コダックさんが、チャプター11を申請したそうだ。信じ難いが事実。
あれだけの企業がと思うが、この兆候は、かなり前から出ていた。でも変われなかった。
デジタルカメラを最初に開発したにもかかわらず。
私の、シンガポール駐在時代の写真は、ほとんどコダックのフィルムを使い、コダックの店で現像し、コダックの店で焼き増しした。
でも、そういう世界が、あっという間に消えたのだ。
もちろん、その予測ができた会社は、ちゃんと転身して、生きている。
経営の重さを思う。
本書は、新聞の宣伝で見つけた。興味のあるテーマだったので、即GET。
なかなかの本だった。
著者は、サエキけんぞうさん。名前は聞いたことあるけどという感じだったが、自ら、ミュージッシャンであり、プロデューサーであり、大学の先生でもあられるそうだ。本書は、昨年の秋の講義をまとめたものとのことで、道理でよくまとまっている。
題名が示すとおり、ロックの発展と、メディアの発展を、関連づけながら、分析し、後半では、日本の独特のミュジックシーンがどう生まれたかを分析している。ほとんど、私と同年齢のようで、まさにその動きをINGで見て感じてきた世代だからこその分析もあり、読んでいて、共感を覚える。
たとえば、メディアの発展は、ラジオ→レコード→テレビ→ヴィデオ→CD→DVD→ネットとしているが、まさにその発展を目の当たりにしてきたわけだし、その前には、音楽とメディアの関係はなかった(音楽は、譜面を通して伝えられた)。
当然、ビートルズは、いの一番に取り上げられている。功績を6つにまとめている。①「バンド」というスタイルを成立②ロックを「アルバム」の時代へ③多重録音の発明④クラシックとの融合⑤現代音楽との融合⑥映像とのコラボ。
流石。①は、ちょっと忘れていたが、ビートルズの前は、ソロスタイル、ビッグバンド型、ジャズコンボ演奏が主流だったのだ。最初の最初から、革命、革命の8年だった。
サエキさんは、小六のとき、万博に行ったそうだ。すでに、ロック少年だったそうで、何と横尾忠則さんのデザインによる”せんい館"に行って、サイケな映像ショーと、電子音の洪水にひたったという。その存在すら知らず、月の石で、大満足だった私とは、レベルが違う。
今回の震災で、再ヒットした”上を向いて歩こう”についての話も興味深い。ビートルズよりも前に、しかも日本語で、アメリカでチャートナンバー1になったのだが、実は、その前に、フランスで人気を博していたという。要するにたまたまではなく、周到な準備をし、さまざまなソフトを駆使しすれば、日本人歌手が海外で成功するチャンスはある。ピーナッツや、沢田研二も、ヒットを飛ばした。残念ながら、その後のフォローがなかったけど。
浅田美代子も高く評価されている。今に続く、アイドル文化を決定づけたのだという。「日本の券\史上最も少女らしい存在と言えるだろう。」
赤い風船のシングルをまだ持っている私である。
最後に、メディアと機材の動きと、ロックを中心にした出来事を、並行して記載した年表までついている。
音楽、メディア関係の方に、おすすめだが、関係ない場合、50歳前後の方にお勧め。INGで、メディアとロックの発展を目の当たりにしてきた世代だから。