本書は、本ブログに投稿いただいたからむさんのお勧めで、即GETした。
読むのが遅れたが、流石にお勧めいただいただけあって、文庫本だけど読み応えがあった。
著者の石渡さんは、高校の先生であったが、その後、古代史に目覚め、多くの本を著された。本書は、その集大成のような本で、題名にも、完本という冠がついている。
流石、完本というだけあって、古代から、大和王朝成立頃まで、一本筋の通った自説を展開されている。
当然、資料は、限られるので、辻褄の合わない資料も多いが、書いたものより、残された証拠品の方を重視する。書かれたものは、大和王権の正当性と、その過去を抹消するための故意のねつ造にまみれている。書いてあるものの方がかえって怪しい?
それよりも、発掘物とか、地名に残っている古代の名残の方が、信頼に値する。
推理小説的な内容なので、あまりネタバレしたくはないのだが、たとえば、石渡さんの考えでいけば、天皇家は、昆支ー継体ー欽明ー敏達ー馬子ー蝦夷ー入鹿となり、聖徳太子は、・・・・
学会の論争の中で、石渡さんの説が、どの程度受けいられているのか知らないが、たぶん、かなり大胆な展開のように思う。ただ、筋がきっちり通っており、説得力は高いものと感じた。
記紀の記載内容と、新に発見される発掘物、言語学の進歩による地名の分析を結び付けていくと、真実が、少しづつ見えてくるのだろう。
今後のますますの展開が楽しみだ。