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昨年のクリスマスに、瀬戸内寂聴さんの講演会に行った話はした。
時を合わせるように、奇縁まんだらの4巻セットが発売されたので、これも何かの縁?と思いGET。
N新聞に連載されていてかなり読んでいたので、これまでGETしていなかったのだが、4巻で完結し、立派なセットで出たので?
単品本と違いがあるのかわからないが、4巻セット用の本にはなっている。
改めて、瀬戸内さんの凄さがわかる。
文は軽妙だし、落ちも効いている。本当に自分がその人に会っているように身近に感じられる。何気なく書いているようにも見えるが、天性のものなのか。
ただ、一番の凄さはその行動力と、物おじしない度胸だろう。これは、なかなか凡人ではできない。
だからこそ、ずいぶん年上の人も含めて、すばらしい出会いを重ねられ、それが今や、凄い貴重な記録・財産にもなっている。
あげていたらきりないのだが、たとえば、川端康成。家に時々遊びに行き、エメラルドの宝石を世話された(買わされたそうだ)。私が、鎌倉に住んでいた時、ノーベル賞を受賞し、家を見に行ったことがあったが、その頃のことであろうか。
中学の時、ちょうど、国語の教科書にあった川端康成のエッセイが取り上げられた時に、逗子で、自殺された。あまりの偶然にびっくり。
三島由紀夫には、ファンレターをきっかけに仲良くなったという。横浜に近代文学館で開催された三島由紀夫展で、自分のファンレターが展示されていたという。私もあの展覧会には行ったのだが、気付かなかった。三島由紀夫が割腹自殺を遂げたのも、私が小学校のころで、衝撃的だった。
瀬戸内さんは、川端康成がノーベル賞を取らずに、三島由紀夫がノーベル賞をとっていれば、両者とも自殺しなかったのではと、憶測している。
こればかりは、どうだったかわからない。
横尾さんのインパクトの強い絵が、本書を引き締めている。横尾さんは、三島由紀夫とも懇意だった。