かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

鏡が語る古代史

2017年07月01日 | Books


本書は、新たに出た岩波新書。

期待以上のすばらしい本だった。

まずもって、これだけ、銅鏡の元データが集められることを知らなかったし、その分析がこれほど進んでいるとも知らなかった。
銅鏡の歴史は、はるか昔(中国4千年とはよく言われるが)に遡るのだが、2000年前ぐらいになって、いろんな使用法が定まってきた。
そして、その工房が、どのように銅鏡を作って、どう盛衰したのかも、細かく追っていくことによって分かってきたのだ。
これほど体系だって分析が進んでいるとは知らなかった。

そしていよいよ日本にも銅鏡が伝わってくるが、当然その時の中国の状況と、日中の関係が、影響する。
そして、またまたいよいよ卑弥呼の時代がくるのだが、本書は、中国でほとんど見つからない三角縁銅鏡を、卑弥呼のための特注と解く。正しいのか正しくないのかの正解は持ち合わせていないが、これだけ、それまでの銅鏡の歴史を解かれた上での議論となると、説得力はある。
この銅鏡は、中国の外で、突然変異的に作られた可能性は限りなく低いと解くのである。

四神とその他の神々が、デザインの関係もあり、いろいろな経緯でぐちゃぐちゃになっている様子も、淡々と語られて、興味深い。
必ずしも、しかめっ面をして、銅鏡とにらめっこする必要もないのである。

銅鏡に興味のある人には、必読の書ではないか。
紀元前の銅鏡の世界がこれだけ分析可能だったとは、驚きだ。
コメント
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